アイアンフットF4Xヘイスティ

 「太陽の牙ダグラム」に登場するアイアンフットというメカは、大河原氏のデザインワークスの中でも相当に良い仕事だと思うけど、劇中での扱いも恵まれていて格好良く、根強いファンも多いと聞く。
 このメカ、あたし的には何となく「格ゲーの敵キャラ」というイメージがあるんだけどどうでしょうか。いえそのキャラクター性がね。



 アイアンフットは、当初敵側(地球連邦軍)の新鋭兵器としてさっそうと登場する。



 ゴリラのようなスタイルと無骨なトーチカ風コクピット!
 両腕をダラリと下げて無造作に前進してくるノーガード戦法ポジション!
 異様に大口径の主砲とミサイルポッド!
 そしてそのモッサリした印象に似合わぬ高機動性!



 それら独特の雰囲気は、「これはものすごく強力な新兵器に違いない!」というワクワク感を喚起するのに十分で、事実アイアンフットは迎え撃ったダグラムをパワーで圧倒し、主人公クリンを寒からしめる。



 さてその後のドラマ展開によって、アイアンフットは解放軍(つまり主人公サイド)の主力機となるのだが、どうもそうなってからの戦績はパッとしない。
 最強のCBアーマーたるダグラムをあれだけ追い詰めた迫力はどこへやら、性能的には格下であろうソルティックやブロックヘッドにも易々と撃破されてしまう情けなさ。
 クリンもダグラムが故障した際などに一時的にアイアンフットを駆ったりするが、アッという間にボコボコにされて逃げ出す始末。あの強さはどこへ行ったんだアイアンフット!



 ・・・とまあその辺りの描写というか扱いが、冒頭書いたように「格ゲーの敵キャラ」を想起させるんですよね。
 つまり格ゲーにはものすごく強い敵キャラがいたりして、
 「このキャラを操作できたら痛快だろうなあ」
 なんて思ったりしますが、クリア後にコマンドを打ち込んだりすると、実際に操作できたりするのがよくありますよね。
 ところがいざ自分で使ってみると、そういうキャラもさして強くなかったりします。あたしがヘタなのか、敵味方でパラメータが違うのかはともかく、そういう印象があるってことです。
 アイアンフットって、そういう「味方にしてみたらてんでヘッポコなヤツ」な感じが実に顕著なわけです。「少年マンガの寝返りキャラ」とか、「大リーグで首位打者だったけど日本野球に移籍した途端1割打者の外人」とか、他にも例えは色々あろうが、まあそういうヤツね。



 まあドラマの要請上、アイアンフットがあまり強いとダグラムの立場が無いので仕方ないと言えばそうなんだけど、あれだけ印象的な登場の仕方をしたのだから、単なるヤラレメカに堕しちゃうのは勿体なかったと思います。ダグラムの危機をアイアンフットが救うような描写ももっとあって良かったんじゃないかな。



 さて以下はちょっと細かいことを記す。
 「アイアンフット」という呼称は、あの力強いキャラクターを良く表していて結構だと思うが、同時に妙な呼び方であるとも思う。
 そもそも「アイアンフット」とは開発メーカー名であって、本機の正式なニックネームは「ヘイスティ」だからだ。
 つまりソルティック同様、何故か皆がメーカー名で呼んでいるわけであって、それはグラマン機をおしなべて「グラマン」と呼称した例などから、べつに咎め立てするほどに不自然なことではないが、劇中
 「あれはアイアンフットタイプです」
 などというセリフがあるのはやっぱちょっと変だよな、とも思います。「アイアンフット社のヘイスティタイプ」と言うべきでしょ、普通。



 それとあたしがアイアンフットで気に入らないのは、その機体色。
 何しろダグラムとほとんど同じ配色なので、キャラクター表現上、相当損をしていると思う。
 高橋アニメのロボットって色設定が優れているという印象がある(ガリアンのプロマキス・ヴィーなんて最高ですよね)ので、アイアンフットの色はとても残念です。
 明度の違うグレーのみの塗り分けだったりしたら格好良かったのにな。無骨さも増すしね。


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