シチリア島ぐねぐね旅行記(3)


 エリチェを折り返し点にして、今度はシチリア島の南岸を東へ戻ることにします。
 トラーパニ及びマルサラを通過し、最初に泊まることにしたのはアグリジェントという街です。
 ここはシチリアでも最大級の観光都市であり、それは多くのギリシア遺跡がここに集中しているからです(神殿だけでも20を超える)。



 観光の中心となるのは「神殿の谷」と呼ばれる遺跡群。「谷」と言うから谷底なのかと思ったらそうではなく、逆に小高い丘の上に遺跡が集まっていて、観光客はそこを歩いて見学します。
 遺跡の中でもヘラクレス神殿、コンコルディア神殿、ユーノー(ヘラ)神殿などは特に立派で、いずれもドリス様式のものです。つまり円柱を支える台座がなく、神殿の基部から直に柱が突っ立っています。
 神殿周囲はセジェスタ同様緑豊かで、色とりどりの花が満開!冬に訪れればアーモンドの花が咲き乱れているそうで、埃っぽい遺跡見物に疲れた目をなごませてくれるのですニャ。さらに夜には神殿がライトアップされて幻想的な雰囲気が醸し出されます。

 

↑神殿の谷。左がユーノー(ヘラ)神殿、右はコンコルディア神殿


 

 ここの難点は他の街同様観光客でごった返していることで、4、5月というのは現地の小中学校の遠足の時期でもあるらしく、特に駐車場や土産物屋はどえらい騒ぎ。迷子は泣くわお爺ちゃんはコケるわ犬は吠えるわジェラート(アイスクリーム)を狙ってハチの大群は押し寄せるわとパニック状態です。これに比べりゃ日本の観光地というのは静かなもんだなあと思ってみたり。
 考えてみるとヨーロッパ全土、いえ世界中から観光客が集まってくるのだから混雑は当然なんですけどね。しかも春は季節が良いのでなおさらです。
 冬に来れば空いてはいるのですが、冬のイタリアというのは非常に雨が多く、観光の能率は下がってしまう。これがイタリア旅行の難しいところです。

↑ライトアップされたコンコルディア神殿



 もっともアグリジェントでは遠足の子どもたちと毎日たくさんおしゃべりをしたりして、混雑期ならではの楽しさもありましたが。
 イタリアの子どもたちはよく外国人観光客に話しかけてくるのですが、あたしが決まって聞かれるのが「イタリア人なの?」ということです。下手くそな英語しかしゃべれないイタリア人なんているかい!
 イタリア人にはブロンドよりブルネットの方が多いみたいですし、あたしは肌が真っ白なので間違われるのかもしれませんが・・・。

↑これはピアッツァ・アルメリーナという街にある有名なカザーレ荘のモザイク



 さてアグリジェントを辞して南岸をさらに東進し、次に訪れたのはノートという街です。
 この街は17世紀の大地震でいったん全滅し、その後長い時間をかけてバロック調の美しい街として再建されました。
 バロック建築は下品でキライだという人も多いみたいですが、あたしは根が下品なせいか、大、大、大好きです(^^)。だからこの街のローマを思わせるしっとりとした佇まいはとても気に入りました。
 観光客のほとんどは近くのシラクーサという街へ行ってしまうらしくて通りも静かですし、治安も比較的良いようです。シーズン柄ざわついた街ばかり渡り歩いてきたのでちょっとホッとしちゃう気分のあたしなのでした。

↑ノート市街。奥の建物は修道院と教会です。手前のバルはジェラート屋さんも兼ねていて、マスターがとても親切でした。


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