No.34
このアニメはこう見やがれってんだ!(2)
一山いくらの激辛アニメレビュー、シリーズ化第2弾です。最近はもう連日ゴミくずアニメのオンパレード(死語)なのでネタにゃ事欠かないぜ。いえ見てるのはあたしじゃなくてニャントロ星人ですけどね。
スクライド
TV版プリサミの後、何一つとして価値ある仕事をやっていない(断言)が、何故か人気だけはある黒田洋一氏がシリーズ構成を担当している。が、本作「スクライド」は、そんな彼のジャンクワークの中では屈指の面白さを誇るんじゃないかと、お姉さんはそう思うなあ。とは言えもういっぺん見ろと言われたら断固イヤ〜ンだし、エイリアンにさらわれて「スクライド」の記憶を全消去されたってちっとも寂しくないですが。そんな作品。
内容としては「ジョジョの奇妙な冒険」から強烈にインスパイアされたと思われる超能力者同士のタイマンもので、キモとなる「アルター能力」はまんまスタンド能力のパクリだし、異世界からやってくる「力」の結晶体はスタープラチナのビジュアルにソックリだ。
ただ、作品演出を真似たりパクったりは全然構わないのだが、せっかくパクったネタを本作独自のやり方で昇華していないのはマズイと思う。
「ジョジョ・・・」のスタンド能力は、やたら怪力だったり、すばしこかったり、卑怯だったり、特定の環境では無敵だったりと、それを操る者の個性によって能力そのものも様々に個性化されている(最近はムチャクチャですが)。だから各々の能力同士には短所とか長所とか互いの相性なんかがあって、それを読み合い、どう攻めてどう守るのかという、格闘技的な駆け引きの面白さ、緊張感が演出されている。弱くてセコイ能力でも、頭の使いようでは超大パワーの相手をブッ倒したり出来るわけだ。
しかるに「スクライド」では、一応各々の能力にビジュアル的な差違は設けられているものの、能力そのものの個性化が徹底されていないため、結局どの敵ともどつき合いで決着を付けざるを得ず、つまりどんな能力だろうと最終的には腕力に換算して描くしか術がないため、見ていて少しもハラハラドキドキしない、薄っぺらな印象の対決画面になってしまっているのは残念だ。
まあ毎回オツムの弱い超能力者が「フンガー!」「キジャヌドラ〜(意味不明)!」なんつってポカポカ殴り合っているだけのシンプルなドラマだから分かりやすくて気軽に見れますし、「う〜ん、来週はどっちが勝つかな?」なんていわゆる安物の少年マンガ的興味を喚起、持続させるだけの迫力は最低限備えており、あたしは(黒田印としては)楽しむことが出来ました。
こういう、見終わった後には何も残らないし、まして再視聴したくなったりは絶対しないけれども、そこそこに退屈はしないってレベルの娯楽作もあって良いでしょう。熱帯雨林や化石燃料にゴメンナサイしてから見ましょうね。
あぃまぃみぃ!ストロベリー・エッグ
WOWOWでかかったアニメで、どういう経緯で制作されたものかあたしは知る由もないが、「ハンドメイド・メイ」で作監を努めていた藤井まき氏がキャラデザを、オープニングアニメを手がけていた柳沢テツヤ氏がアニメーションディレクターをそれぞれ担当している。ためか主人公のルックスなんかはちょっとメイちゃんに似ておりますな。
肝心の内容だが、地動説をも超えるあまりのバカバカしさにちょっとあたし的にはコメント不能。こんなの全12話(だったか)も見ちゃったあたしは全く持って見習いたい忍耐力である。国民栄誉賞クラス。くれ、栄誉賞。
ちなみにどうでも良いけどヒロイン(?)の名前があたしの本名(楓子)と同じなのが何気に不愉快です。読み方は違うけど。
ヘルシング
あたしがいつもここで散々にこき下ろして裏表塩コショウしてポアレしてグリルしてフライにしてから不燃物に出している小中千昭氏がシリーズ構成を担当している。が、本作「ヘルシング」は、そんな彼のジャンクワークの中では屈指の面白さを誇るんじゃないかと、お姉さんはそう思うなあ。とは言えもういっぺん見ろと言われたらヘソ噛んで死にたいし、「ヘルシング最高だよな!」なんて人がいたら反射的に顔面パンチ入れちゃいそうですが。そんな作品。
あたしは未読なんですが、本作には人気マンガが原作としてあるそうで、そちらのファンの人たちに言わせると、アニメ「ヘルシング」は箸にも棒にもかからない駄作であるらしい。
しかしあたしとしては「小中印としてはまあまあ見れるじゃん」という印象を持ったので、要するに「とても面白い原作を小中氏が普通のつまらない作品にしてしまったが、それでも(原作が優れている分)いつもの氏よりはマシな仕事になった」というあたりが真相に近いのかもしれないなあ。想像だけど。
ストーリーは「人工的に吸血鬼を作り出して社会をおびやかす組織に、由緒正しき対吸血鬼部隊と、そこに身を置く真性吸血鬼が立ち向かう」というもので、恐らくは「ブレイド」あたりのパクリなんだろうし、バンパイアというウルトラ古くさいネタをあえて扱うことの是非はともかくとして、そのフェイクを電子技術によって量産するという陰謀のアイデアはなかなか良いと思う。
難点は、見ていて実にカタルシスに乏しいことで、やっぱバイオレンスたるもの、ガッコンガッコン敵をいてまう爽快感が欲しいよなあ。
ヒロイン(?)の婦警は最初から最後まで煮え切らないヌルヌルのキャラだし、ヒーローたる吸血鬼は肝心な時にゃ決まって役に立たない大マヌケ。眠たいんかコラ!
あたしは主人公が悩んだり苦戦したりするバイオレンスというのが大嫌いで、ヒーローたるもの一旦暴れ出したら誰にも止められない無敵の存在であって欲しいのです。初期のセーガルみたいにさ。
しかるに本作のヒーローであるオヤジ吸血鬼たるや、能書きばっかりいっちょ前(マジ、あたしよりエバっている)で、そのくせ満足に倒せたのはチンピラみたいな敵ばっか。真に小面憎い幹部級の敵にはスカタンこいてばっかりじゃないか。何がマスターだ。「まことに恐縮ながら、本日よりブレンドコーヒー1杯350円に値上げさせていただきます。店主」って方のマスターだろアンタ。
まあかようフラストレーションばっかり溜めさせられる本作だが、「いったい敵組織の正体と目的は何なのだろう?」というストーリーへの興味が視聴者を食いつかせ続けるよう配慮されており、つまり連続ドラマを見る楽しみをそこそこ満足させてくれるので、エンタテイメントとしてはまるきり失敗というワケではないと思う。
もっともそれが原作の手柄なのか小中氏の手柄なのかあたしには分かりませんし、アニメも最後の最後に来て「スンマヘン、敵の正体や目的はサッパよう分かりまへんでした」などというものすごいオチでチョンなんだから、もうそれしか関心ないよと思って見ていた向きにはバーサーカーモード発動だけれどね。
まったくもう、一体いつまでエヴァ式詐欺商法の亡霊と付き合わされなければならないのか。仕舞いにゃ血ィ吸うでホンマ。
追記・それにしても本作は、キリスト教圏には輸出できないだろうなあ。罰当たり天下無双だもんなあ。ローマ法王が見たら脳が破裂するぞ。(んな見まっかいな)
(本稿に関して、「ブレイドはヘルシングより後発で、即ちネタをパクったとすればブレイドの方である」との御指摘を多数の方からいただきました。浅学を恥じ入り、原作者並びにファンの方々にお詫び申し上げます。m(__)m)
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