No.36
洋画界ツンドラ便り・2
しょうむない洋画をドバッとまとめてレビューしちゃうシリーズの第2弾です。例によってWOWOWで視聴した作品ばかりですので、旬もへったくれもない古物ばかり。まさに型落ち商品を福袋に詰めたインチキ商売と言えましょう。(えばって言うなよ)
バトルフィールド・アース
遠い未来のオハナシ。
地球は万能の科学力を持つ異星人に征服され、あらゆる文化を失った人類は奴隷のような暮らしを強いられていた。
そこに現れた英雄の資質を持つ若者は、異星人のテクノロジーを学んで人々を導き、大反乱の末に敵の母星を粉砕する・・・・。
ハイ、馬鹿馬鹿しいですね、脳天気ですね、呆れますね。こんなしょうむない映画にバリバリお金がかかっているのを見ると、王者アメリカ帝国の余裕がマジ羨ましくなります。スゴイぞ強いぞ僕らのアメリカ!脳軟化寸前だけど。
それにしても、あんな馬鹿馬鹿しい役を真面目に、しかし楽しげに演じていて、トラボルタはホントにエライなあ。
ユニバーサルソルジャー2
あまりのバカバカしさに、見てると脳が発酵しそうなほど悶絶な映画。お願いです、死んでください。つか死んでるけど、ユニソル。
スペース・カウボーイ
う〜ん、イーストウッドの映画というのはいつもそうだけど、ずいぶん粗っぽい作りだなあと。
何しろストーリーもキャラも演出も全てお約束でしかも薄味なので、最初の30分を見ただけで、その後の展開がニュータイプよろしく予知出来てしまう。
ああ、この老人たちが気合いで最新テクノロジーを圧倒し、ついでに誰かが自己犠牲の精神を発揮してミッションを成功に導くんだろうなあ。湧き起こる歓声に一粒のお涙を添えた大団円なんだろうなあ。そんなのつまんないなあ、やだなあ、見たくないなあなどとボンヤリ考えているうち、その通りの展開の末に終わってしまった。ギャフン!
もちろん予定調和ベタベタのエンタテイメントだってあって良い。だけどいくら何でもこりゃひどすぎないか。
映画ってもっとワクワクさせてくれるもんじゃないのかなあ。ワーッ、次はどうなるんだろうってドキドキさせてくれるもんじゃないのかなあ。登場人物の思いもかけないパフォーマンスにハラハラさせてくれるもんじゃないのかなあ。
まあこういう「何も起こらない」娯楽をこそ、安心してまったり視聴したいという向きもあるのかな。あたしはもうゴメンだけど。
ちなみに特撮は、地味だけどとてもカッチリ仕上げてあって良いと思いました。
ダンジョン&ドラゴン
サルが書いてイヌが推敲したみたいな脚本。あまりのしょうむなさ故、仕舞いまで見ないうちに気を失ってあの世へ行けること請け合いである。
何しろそのストーリーたるや・・・・・・・・ハッ、いかん!ちょっと内容を思い出しただけで失神しそうになってしまった。皆さまも努々(ゆめゆめ)D&Dに近づいてはなりませぬぞえ。婆の忠告ですぞえ。
ザ・セル
面白くはないけどちょっとした力作。いささか芸術映画ぶってるようなカット割りやテンポには鼻白むが、シンプルなテーマをシンプルな展開でグリグリ見せているのは良いと思う。
内容としては、猟奇殺人鬼の精神世界へとダイブして、その病巣を暴こうとする女性セラピスト(ある種の超能力者?)の戦いを描いたものだが、殺人鬼が拉致して自動殺人装置に閉じこめた女性の所在を突き止めようとするサスペンスが組み合わされており、構成としてはなかなか巧みである。つっても編集に工夫やヒネリがないので、全然ハラハラはしませんが。
猟奇殺人鬼の異様なサイコワールドもイメージとしては陳腐で、どれもどこかで見たような悪夢絵でしかないのは残念。殺人鬼の心理って、こんな類型的なもんじゃイケナイんじゃないのかなあ。常人には想像も付かないほど醜悪であったり、あるいは逆に超美しくて神々しかったりしなきゃダメだと思う。
つまり一見して「ああ、殺人鬼の精神世界っぽいなあ」などと感じられてしまうようじゃ、逆にこの手のモノはエンタテイメントとして失敗になっちゃうんじゃないかしら。
本作でちょっと光っているのは、精神世界の中で主人公に接触してくる少年の存在である。
彼はもちろん殺人鬼の少年時代(の精神)のカリカチュアなワケだが、底知れない絶望感に身を沈めながら、必死に主人公に救いを求めたり、また逆に主人公を救おうと奔走する健気さにジンとさせられる。
どんな猟奇殺人鬼の無意識にもあんな可愛いくて寂しげな男の子が住んでいるのであれば、あたしだって彼らをテンから忌み畏れたりせずに、その心の闇のほんの一片でも理解をしようと努力・・・するわきゃないけどさあ。
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