番外記事

キミは宇宙大怪獣を見たか?(1)

 
 
 先般、松竹映画の空想特撮シリーズ4部作のDVD-BOX(商品名・SF-CUBE)を入手しまして、今や伝説と化しているそのワヤクチャな内容を存分に楽しむことが出来ました。いやはやヒドイ!(^^)

 これはもう1人で笑ってるのも勿体ないので、内容の一部を、久々にダイジェスト紙芝居として紹介したいと思います。

お題は松竹唯一の怪獣映画

「宇宙大怪獣ギララ」!

 あたしは本作を学生時代にも視聴しております。

 その時は「高速度カメラを使ってないから、ビルの破片がポロポロ落ちたりしてスゲぇチャチいぜ」とか散々な前評判を聞かされておりまして、しかし実際見てみますと、「いやいや、高速度カメラ使ってるでしょコレは(撮影速度が適切かは別として)」と感じたこともあり、印象はさほどに悪いものではありませんでした。

 しかし今回改めて鑑賞して、そのロクでもない内容に唖然呆然。特撮がどうとか言う以前に、なるほどコリはヒドイ映画です。

 ギララがどんだけダメなのか、それでは紙芝居でご覧下さいませ。

 タイトル画面です。

 やる気のカケラも無さそうなショボイ題字と共に、有名な主題歌「ギララのロック」が流れます。

 「ち〜きゅう〜、ボクたち〜の星〜」というフニャけた歌詞に、早くもイヤな汗の出てくるトホホなオープニング。

 物語は、富士山麓の宇宙開発局に、外国のエライ博士(?)が原子燃料を運び込むところから始まります。

 ショックを与えると危険なので、ソロソロと燃料ケースを抱え歩く作業員たち。

 ていうかそんなデリケートなもんをヘリコプターで運ぶなっつーの。

 この開発局からは、今しも火星探査船が発進しようとしていました。

 探査船のキャプテンはこの人、佐野さん(演・和崎俊也)です。

 どう見ても実業団ラグビーのロートル選手ですが、一応この人が主人公(らしい)。

 クルーの紅一点、女流科学者のリーザさん(演・ペギー・ニール)。

 ロングショットでは可愛らしい印象の人ですが、アップになると狷介な顔付きのオバハンに見えてしまうのが難でござるな。

 通信員の宮本さん(演・柳沢真一)。

 物ぐさでお調子者で食いしん坊。マンガみたいにステレオタイプのトラブルメーカーキャラです。

 この3人と、船医さん(左端の人)との4人が宇宙船のクルーです。

 火星探査は、これまでに何度も原因不明の失敗をしているそうで、その原因を探ることが目的の一つなんだとか。

 何ともあやふやなプロジェクトであります。

 宇宙船の打ち上げシーン。

 ここはミニチュアの出来も良いですし、スケール感も出ていてグッドな印象です。

 打ち上げロケットから出現する探査船・AABガンマ!(原子宇宙船ガンマ号の意だと思われます)

 戦闘的なスタイルが格好良く、魅力的なメインメカです。

 ギララもそうですが、本作はガジェットデザインは悪くないですね。

 開発局では宇宙船の航路をモニターしています。

 とっても狭そうな宇宙で、実際行程は数日程度のようです。

 火星を目指すAABガンマ号の前に、UFOが出現しました!

 このUFOは過去にも宇宙船の航路で目撃され、火星探査失敗の原因かもしれないと考えられています。

 果たして敵なのか、味方なのか?

 UFO接近と同時に強烈な電波障害が発生!

 その上船医の塩田さんが体調不良で倒れてしまいます。

 「私は医者だ!私の身体は私が一番分かっているのだ!」などと船医さんは強弁しますが、体調不良の原因は皆目分からないみたいです。まるでどこぞのバカ宰相みたい。

 このまま火星探査を続行するのは困難と判断し、AABガンマ号は月基地へ一時退避することにしました。

 月基地はかなり大規模で、多くの人員が常駐しているようです。

 月基地でガンマ号の受け入れ準備をするのは、まことに失礼ながら、ちょっと齧歯類みたいなルックスの道子さん(演・原田糸子)。

 この人は主人公の佐野さんと恋仲という設定らしく、リーザ博士と親しげな佐野さんを見て、いきなりブリブリと不機嫌に。

 ガンマ号の進入速度が速すぎて危険だと進言するスタッフをうるさそうにあしらう道子さん。嫉妬でブチ切れ寸前です。

 ちなみにこのスタッフは藤岡弘氏ですが、出演シーンはここだけのチョイ役です。

 とまれ、ガンマ号は無事に到着。月での歓待を受けます。

「月では果物が大きく育ちますよ」とか何とか言って談笑する一同。

 宇宙基地を一生懸命に描写しようとする意気は買いますが、この翌年に「2001年宇宙の旅」が公開されていることを思うと、あまりのイメージ貧困ぶりに泣けてきますじぇ。

 ヒノキ風呂(!)に浸かってくつろぐ男性クルー。

 ガラス窓一枚隔てた外は月の宇宙!

 ある意味とてつもなくリッチなお風呂でありますが、画面の印象はとてつもなくチープだったり。

 言っても仕方ないけど、邦画ってダセェなあ・・・・

 一方女性陣は、シャワーを浴びながら、佐野さんを巡ってトゲのあるやり取りを。

 イケメン社員を取り合って火花を散らすOL同士のドラマみたいで、月くんだりまで行ってそんなことしかやることがないのかと諭したくなります。

 体調不良の塩田船医を月に残し、ガンマ号は再び火星へ向けて出発しました。

 塩田さんと交代して月基地の外人医師(写真)が乗り込みますが、この医者は「もうすぐ休暇のはずだったのに」と不平タラタラ。

 莫大な公費を費やしての火星探査でしょうに、全くもうコイツらは・・・・

 あまりのヤル気の無さに神様もお怒りになったか、ガンマ号は隕石群に突入し、船体には穴が空いてしまいます。

 空気は流出するわ、紙皿は飛び交うわで大変な騒ぎですが、宇宙船事故と言うよりはドリフの台風コントみたいです。

 外から見たガンマ号の破損部分。

 船体のペラペラぶりもスゴイですが、中央に見えている銀色のモノがまたスゴイ!

 コレは実は、穴にハマり込んだ宮本通信士のお尻(!)なのです!

 何なんですかこの映画はもう。トムとジェリーですか。

 宮本ヒップによって空気の流出が止まり、船体の修理も出来ました。尻スゲー!

 しかしUF0が再び出現し、ガンマ号を牽引ビームで引き寄せ始めます!

 医者は恐怖で錯乱し、佐野キャプテンをブン殴って流血させたりと大騒ぎ。

 ガンマ号の性能とかはともかく、こんなヤツらじゃ成功するわけないよ、火星探査。

 クルーらのパニくりぶりがあまりにスゴくて引いてしまったのか、UFOは虚空へと去っていきました。

 しかし船体をチェックしてみると、いつの間にか異物が付着しているのが発見されます。

 不思議な光を放つ、タマゴ状のこの物体は?・・・・

 謎の物体を採集したガンマ号クルーですが、何かもうイヤんなっちゃったらしく、火星探査をあきらめて地球へと帰ってきました。

 結局コイツらのしたことってば、月でひとッ風呂浴びただけ。

 現在ならば即座に事業仕分けの対象になっていそうなスチャラカ組織ですね。

 唯一の収穫だったタマゴ状物体は、研究室に放置しておいたところ、内部に潜んでいた何者かが作業台を溶かし、のみならずその下の床をも溶かし貫いて、地中へと消えました。

 文字通り、物体は宇宙生物のタマゴだったようです。

 この辺りの描写や、上で書いた医者の反乱等は、後の「エイリアン」を強く想起させますね。

 研究試料を失って手持ちぶさたの一行は、開発局近くのホテルで休むことにしました(箱根辺りかな)。

 しかしホテルは全館停電で真っ暗け。

 「最近謎の停電が多いのです」などと従業員が言い訳しているところへ、不意に地鳴りが起こって・・・・

 「ボエーッ」という怪声と共に、山を割って巨獣が出現しました!

 上映開始から約45分、宇宙大怪獣ギララがようやくのお目見えです。おせーよ!

 果たしてギララとは何者か?如何なる力を秘めているのか?

 対する人類の作戦は?そして謎のUFOの意図とは?

 全ての謎は続く後編で解き明かされるであろう!乞うご期待!!


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