No.88 このアニメはこう見やがれってんだ!(46) |
フタコイ オルタナティブ |
立花籐兵衛&ダブル女ライダーがイカデビルと戦ったら町が丸焼けんなって御近所はイイ迷惑なオハナシ。 本家筋の「双恋」とはほとんど関係ない荒唐無稽な作品内容だが、それでナンセンスな面白さが出ているかと言えば全くダメで、単に馬鹿馬鹿しいだけ。 それがひいては、「モラトリアム中の我が身と向き合う勇気」というテーマ(これだけは前作「双恋」と通底しているとも言える)が視聴者にアピールすることを、絶望的に阻害してしまっている。どうにも修正不能のゴミクズだ。 「まほらば」とか「ニニンがシノブ」とか、それに本作とか、書いた先からディスポーザー逝きみたいなシリーズ構成ばかりやってる金月龍之介が、どうしてのうのうと脚本家なんぞ続けていられるんだろう。 アニメ界の自浄能力欠如には、常ながらタメイキばっか出ますわあ。 追記・キャラデザや作画に小林利充氏がクレジットされていて少しく驚いた。 が!大ベテランなのに微塵も古さを感じさせない、この絵作りの若々しさシャープさはどうだ。 キャリアに驕らず、常に新しい勉強を我が身に課していてこその素晴らしいお仕事。拙者感服つかまつった。 |
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RED GARDEN(レッドガーデン) |
リーズという女学生の変死体が、郊外の森の中で発見される。 一方、彼女の友人だった4人の少女たちは、一夜の記憶がスッポリと欠落していることに気がつき、名状し難い不安を覚える。 そんな少女らの前に、「教育係」と名乗る謎の女性が姿を現して告げる。 「あなたたちは死んだのよ」と。 何ともミステリアスでワクワクさせられる、これが本作「RED GARDEN」の導入部だ。 第一話を見て、今後の展開への期待で胸が躍るアニメなどそうあるものではなく、あたしはそのツカミの上手さにすっかり唸らされてしまった。 「死んだ」少女たちは、いわばゴーレム戦士として戦場へ駆り立てられるが、その戦いは、そもそも敵味方が何故対立を始めたのかすら定かではなく、また敗者はもちろん、勝者の方も特段に報われるわけではないという、究極的に不毛な相克だ。 それは本作が、現実世界全体をカリカチュアとして描いているからではないのか。この世は何と酷薄で、悪意と争いばかりに彩られているのだろう。 それでも彼女らは、その世界に、自らが愛する者、自らを愛してくれる者も確かに暮らしていることを再確認し、決然として最期の地へ赴く。 同じ運命を生きる仲間との絆を支えに、手を取り合い、「一人じゃないから」と言い交わしながら。 かよう、やたらと多い登場キャラたちの心情をチマチマ追いながら、しかし全体としてスッキリと分かりやすく見せきった作劇の巧みさでも「RED GARDEN」はどうして大したものであり、あたしはいたく感動させられたのだが、世間的にはどうも好評を取れなかったようで、終盤のあまりにバタバタした店仕舞いは、低視聴率故の打ち切りのためだとも聞く。 なるほど本作は、そも見続けるのがシンドくなるほど真っ暗けな内容ではあるし、不合理極まりない設定や展開が多すぎるという欠点もある(ニューヨーク市街という現実的な舞台であるため、それがことさらに際立って見える)。 ちとエキセントリックなキャラ絵であるためか、作画がイマイチ不安定だったことも不人気の理由かもしれない。 だがそんなことが何であろう。 「RED GARDEN」の文芸には、見る者の心を揺さぶるだけの迫力が間違いなくあり、それは創作物にとって最も大切な、作り手の魂がそこに込められていることの証左なのだ。 何よりも、これが全くのオリジナル企画であるということがまず痛快ではないか(どう見ても「ポーのローゼンメイデン一族」というイメージであり、世界設定やストーリーの独自性では弱いが)。 「養豚場」と揶揄したGONZOに、あたしはこういうアニメを作ってもらいたかったのである。 打ち切り終了による最終回の舌足らずぶりは本当に残念だが、ついに正気を取り戻すことなく滅んだリーズの、しかし安らぎに満ちた静かな独白で締めくくるラストシーンは、深く心に染みる。 ・・・私ね、彼氏が出来そうなの とっても優しい人なのよ 遊園地でね、一人でボンヤリしてたら、その人が声をかけてきたの あんな気持ちになったの、初めて もう、すごく楽しくて 会ったばかりなのにね、一緒に観覧車に乗ったの 何度も、何度も、二人で回ったのよ 何度も、何度も・・・・ 本編中、あまり描かれることがなかった生前のリーズはどんな少女だったのか、まるでタイプの違う4人のヒロインが、何故に共通の友人としてリーズを愛したのかが、ここで初めて、強烈に納得される(同じセリフは前にも出てくるが、ここに改めて挿入されることに意味がある)。 そしていかなる悪意も、過酷な運命も、哀しいまでに善良なリーズの魂を些かも損ない得なかったという事実が、陰惨さばかりが際立った本作への、もっと言えば我々の住むこの世界への救済として、暖かに光り輝く。あたしは涙があふれて止まりませんでした。 GONZOのプロダクツが好きな人、嫌いな人、どちらにも是非見ていただきたい力編。大好き!! 追記・本作で試みられた様々な実験的表現手法は、全てが成功していたとはとても言えないけれど、あたしはそのチャレンジ精神を高く評価したい。 殊にプレスコ録音は、そのこと自体が絶対的に良いとか悪いとかではなくて、声優らが、いつもと違う録音環境とどう取り組むべきか、それぞれ必死に模索しながら演じている様子が感じ取れ、それが独特の迫力を生んでいた点が価値だと思う。 ただ子安氏の演技だけが、まあそれがベテランらしい貫禄とも言えようが、いつもと全く変わらない調子で実に安っぽく浮いている。 個人的好悪を申し上げて恐縮ですが、この人の声ってマジ毎度イラッと来ますわあ。 追記2・主題歌最高!毎回歌って踊りながら見てました。 OPアニメも、一歩間違えば東京モード学園のダサCMになっちゃいそうな絵をギリギリのところでカコヨクまとめていて好印象。EDも前期バージョンは大好きですわ。 |
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