No.96

このアニメはこう見やがれってんだ!(54)

 
 

ドラゴノーツ ザ・レゾナンス

 
 「今、獣姦がアツい!!」という、いくら何でもTVシリーズとしては上級者向けすぐる基地外トレンド発信アニメ。
 ヘンタイのスクツたるヲタ界隈とはいえ、そんな最前線に乗っかるヤツがマジョリティなわきゃねーだろが。

 
 もちろんヘンタイ作品だって見て面白ければ結構なのだが、お馬に乗ったドキュソ集団が板橋区くらいの広さしかないショボイ太陽系内をほっつき歩ってるだけの絵をどう楽しめというのか。
 まるで廃園のメリーゴーランドのようなポンコツぶりであり、ヒンヌーのツンデレだとか山盛りのオッパプ嬢だとかいう記号だけで幸せになれちゃう残念な人以外にはオススメ出来ませんな。
 
 

奏光のストレイン

 
 ゆかな氏が珍しく乳のシボんだ役でモビルアーマーGドライと戦うオハナシ。


 どうやらオリジナル企画であるらしいことや、チマチマした伏線をキッチリ回収する文芸の折り目正しさ、重要なレギュラーだろうと思っていたキャラが次々と死んでいく展開の意外性等々、本作には評価をしたい美点がたくさんある。


 しかし見ていてどうも入り込めない、何かそぞろな気分になっちゃう作品でもあり、どうしてなのかと色々考えてみたんだけど、要するにスタッフ側の余裕の無さ、イッパイイッパイでやってますっぽい舞台裏事情・・・みたいなものが透けて見えちゃってるからではないかという気がします。
 それはスケジュールがキツイとか予算がショボイとかいうことではなくて、そもそもスタッフらがエンターテナーとしての才能をちょっぴりしか持ち合わせていないため(失礼)、どんなに努力をしてもなかなか追っつかなくて気の毒だなあ、みたいな印象なのである(ホントーに失礼)。


 だからせっかく藤田まり子氏のキャラデザを持って来てもそれに魅力的な演技を付けられなかったり、メカデザも主役級以外はやたらとヤッツケっぽくて雰囲気ブチ壊しだったり、ミステリ解明の手際が悪くて少しもワクワクしなかったりといったツメの甘さばかりが際立ってしまい、それが本作をして、素人がとにかくマジメに作りましたよというだけのビンボー臭いイメージに見せてしまっていることは残念だ。


 
例えれば、ネタはそこそこに練られていて悪くないが、演者の表情やベシャリのテンポがダメで全く笑えないコント芸人のような作品とでも言えましょうか。
 作ったモノを他人に見てもらうことがどんなにシビアなお仕事か、改めて思い知らされたり身につまされたりしたアニメでありましたとさ。
 
 

海月姫(くらげひめ)

 
 ものすごく上手い。


 原作マンガを読んでないので、原作が上手いのかアニメスタッフが上手いのか判じかねるがとにかく上手い。
 ドラマ運びも細かな演出も、スラップスティック系ラブコメの模範教材にしたいような巧者ぶり。全く心憎いほどだ。


 と言って、アニメ「海月姫」が文芸作品として高い完成度を有しているわけではない。てかむしろ相当に低い。
 何しろ登場人物が一通り紹介され、この人たちがこういう場所でこんなドタバタを演じるんですよという、せいぜい「起」のパートが描かれただけで終わってしまっているからだ。即ち、アニメが独自に表現したテーマというモノはほぼ無いに等しい。


 しかるに、グダグダでまるで見ていられない完結作よりも、切れ味鋭くてワクワクする予告編のが1000倍世のためになるのは自明であって、だから本作は後者なのだと割り切って楽しむのが吉でありましょう。


 やたら風呂敷を広げすぎちゃってどう店仕舞いするんだ無理だろじぇったいと思った最終回も、なるほどここでこうブッタ切って締めなのかと唸らされる構成の妙で、無理なくストンと胸に落ちた。
 11本の尺で出来ることだけを見事にやり遂げた、スタッフのセンスと手腕、そして熱意に心から敬意を表します。


 追記・やはり尺の都合で端折ってあるのか、それとも原作からしてそういう扱いなのか、それぞれに魅力的な脇キャラたちがほとんど活躍しなかったのはちょっと残念だ。劇中で特技活かすの千絵子さんだけなんだもんな。


 追記2・
クララの可愛さは異常。天才子役だと噂には聞いていたが諸星氏マジスゲェ!今からこんな上手くてどうすんの。
 一方で、まことに勝手なハナシですが、花澤氏にはあんまり上手くなってもらいたくなかったなあ。個人的にゼーガの頃の素人っぽさが好きだったので(ホントに勝手でスミマセン)。

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