No.26
ゴミの山山山・・・
・・・などというタイトルを付けてみたものの、こんな大昔のフレーズを知ってる人ももう少なかろう。圓歌師匠もアレ一発だけだったな。噺家としては最低だし、早いとこ引退してくれないものか。
なこたぁともかく、電波館名物大雪山こきおろしコラムですの。今回は、見たことがイヤになっちゃうようなゴミくずアニメを一山いくらでメッタ斬りにします!アニメ制作会社よ、ニャントロ星人の怒りを知れ!!
アルジェントソーマ
初対面のメカデザイナー山根公利氏に
「あんなしょうむない作品に関わっていて情けなくないですか」
などとやってしまい、どひんしゅくを買ってしまったいわく付きアニメである。
ここで弁解しておくと、本作の出来に関して氏には何らの責任もない・・・ていうか氏はその領分(メカニック設定)においてキチンと仕事をされていて、それはあたしも承知している。
さらにキャラクター設定も(あの鼻なし顔には好き嫌いあろうが)ひとまず過不足ないし、美術だって十分以上の仕上がりだ。
つまり本作はビジュアル面の入れ物については何らの問題もなく、入れてある文芸が実にしょうむないということであって、しかし監督氏にブーたれるワケにもいかないあたしはたまさか会った山根氏を生贄にしたってことなので、こういう狂犬の側にはなるたけ近寄らないが正解でございますね。
さてその中身についてである。
一言で言うと「フランケンシュタインの巨神ゴーグ仕立てエヴァ風味」ということになろうが、そもそも語るべき内容などさして無いことを糊塗しようとしてか、愚にも付かない修辞をゴテゴテと言い立てるのが気障りで仕方ない。
たとえば
「どんなアニメが好きなのか教えてよ」
というセリフを
「娯楽動画の好尚をこれ遺漏無く教示されたい」
などと言う人がいたら、こいつバカじゃないかしらと誰もが思うだろう。そんな感じ。
毎度する揶揄でまことに恐縮だが、辞書を買ってもらった幼稚園児が嬉しさのあまりオハナシなど作ってみましたってところかな。何やらややこしいレトリックは並んでいるが、ドラマのダイナミズムなんか何もないワケです。オマケに主人公がロリコンの精神異常者なんだから、楽しく見続けろと言われたって無理な相談ですぜ。
サンライズの企画も、完全に作家としての視点が見えない、ただオツムの弱い消費者を一時的に誤魔化せればいいというマスプロばっかりになっちゃったんだなあ。AICやマッドハウスがとんでもないロマンチストに見えちゃうんだから情けないよ。
追記・ハリエット・バーソロミューというキャラの名前は、やっぱりあの偉大な童話から拝借したのでしょうか。だとしたら大罪です。ピアス女史に死んで詫びてほしいですよ全く。
ノワール
箸にも棒にもゲッタートマホークにもかからない作品というのはこういうものを言う。しょうむないなどと言ったらほめすぎなくらいだぜ!
それにしても分からないのは、監督始めスタッフの思惑だ。一体何を作ろうとし、何を作ったつもりなのか?よもやと思うが洒落ててクールなクライムムービーを作ったなどと勘違いをしていたらお笑いだ。
知もなくセンスもなく熱いマインドもない、ないないづくしの産業廃棄物。こんなものを作って電波に乗せてしまうことこそが「ノワール(暗黒犯罪)」であります。
まりんとメラン
サンライズ作品でありながら、ここで紹介したものの中では一番まとも・・・ていうかゴミだと切り捨ててしまうにはちょっと気の毒な気もする、そこそこの力作である。とは言え面白いかと問われたら全然つまらないし、水ぶくれのダラダラした構成でイヤんなっちゃうんだけど。
内容は、三つのしもべを従えた少女が世界の平和と自らの運命のために戦うという、どこぞの学ランエスパーマンガみたいなストーリーなんですが、何だか雰囲気が「プリティサミー(TV版)」を200万倍に水で薄めてつまらなくしたようなアニメだなあと思っていたら、シリーズ構成は倉田英之氏であった。道理で暗いと思ったよ。
オマケにキャラはやたらとゴチャゴチャしていて分かりにくい上、各々のスタンスがハッキリしていない。メインで描くのがまりんとメランの心の交流なのか、それとも萌ちゃんとのそれなのか、倉田氏自身すら決めかねているような感じで画面は混乱の極み。
結局選ばれたのはメランで萌ちゃんはほったらかされるが、そんな中途半端な扱いをするキャラなら最初から出さなきゃいいのに。
「プリサミ」において、砂沙美・美紗緒・魎皇鬼の関係ではメインはあくまで砂沙美と美紗緒であり、しかしながら砂沙美と魎皇鬼の絆も矛盾なく描ききっている。それは倉田・黒田両氏の「何を描くのか」というスタンスが終始ブレなかったからであり、キャラ自身が何を演じればよいのか知っていたからである。
しかるに本作ではどうか。キャラの心情はあっちへ行ったりこっちへ行ったり終始グラグラしていて、自分が何者であるのか分からないままに演技をさせられている。それはそのまま作家の心情であって、作り手が何を描こうかと決めかねているような作品を見せられてはハッキリ言って迷惑だ。
「メラン、好きよ、愛してる!」とラストで主人公に言わせることを、だからドラマ(26話分もあるのに!)が許していないよね。つまようじ一本でスカイドンを支えるようなモノだ。感動的というよりも、「アホかこの女」という心境になっちゃうのである。可哀想なまりん。可哀想な作品。可哀想な視聴者。
それにしても、まりんがブリガドーンから戻った際、マジで萌ちゃんが死んでいたらもの凄いドラマになったんだけどなあ。ホントにそうだったらヤダけど。
プロジェクトアームズ
全く呆れた子供だましである。一体これを面白いなどと感じる人類がいるのか?制作者には作家の誇りたるものが寸毫でもあるのか?マジで伺ってみたいのココロ。
内容は、秘密結社の生み出した改造人間たちがその組織の陰謀に立ち向かうというベタなもので、それ自体は結構だが、キャラクターやその心情、また用いられるガジェットのチープさはいささか呆気にとられるほどである。
この世のものとも思えない、究極的にステレオタイプのキャラたち。
百万年前のつまらない少年マンガもかくやと思われる、意外性も何もないドラマ。
「サイコキネシス」だの「テレパシー」だのと素面で言っちゃう道具立て。これまた毎度言うことで恐縮だが、あたしなら恥ずかしくって自殺しちゃうぜ!
本作は人気マンガが原作としてあるらしく、読者が揃いも揃って白痴ではないとすると、原作にはそうしたしょうむなさを補う別の魅力があるのだろう。例えば絵のタッチが非常に独特で上手であるとか。そうでありますように。
そうでないとしたら、もはや読者たる子どもたちのオツムの中は手の施しようがないほどスッカラカンということになるものね。まあ今の世の中それでも生きていけるのかもしれないけど。
コスモウォーリア零
「麒麟も老いてはド馬に劣る」という言葉があるが、老いてド馬に劣るのならまだ害がないのであって、老いてボケボケだが変に元気だけはあり、そこいら中の家に暴れ込んでは赤ん坊を踏んづけたり冷蔵庫を漁ったりしている狂馬というのは始末に負えない。業界の大ダニ、松本零士氏などはまさにその体だ。
若い頃の松本氏はそれこそ麒麟児と呼ぶに相応しい天才肌のエンターテナーで、実際氏の作品と出会わなかったら、あたしは今頃マンガなんか描いちゃいないと思う。いわば憧れの先達であるから、最近のみっともない暴れぶりを見るにつけ、何ともやりきれない思いがいたします。
「コスモウォーリア・・・」はその松本氏企画のアニメであるが、ハーロックだのエメラルダスだのの若き日をモチーフとしたでっち上げエンタテイメントであって、要するに最近の氏の主要な活動である、過去の傑作を適当に包装し直して切り売りするというさもしい商売。まさに業界乞食!
それでも出来上がったモノが面白ければ文句はないが、大昔の東映版ハーロックにも劣るシドイ作画で、相変わらずのセンチな特攻ヒロイズムを謳っているのだから楽しめと言う方がムチャである。一体こんなやくたいもないモノを制作するのに寸毫でもエネルギーを消費する意味があると思っているのか。正直悪い冗談かと思ったぞ。
あるいは氏は本作の企画には全く関わっておらず、アニメ会社の方で勝手に作ったモノに名前を貸しただけなのかもしれない。にしたって、この百万遍聞かされた底の浅い精神主義の空念仏は、やはり根元的に氏のテイストに違いなかろう。薄気味悪くって反吐が出ます。
氏の一番の難儀な点は、思想だとかロジックだのは何もなく、ただ目先の小金稼ぎに汲々としている我が身に対して完全に自覚を欠いている(らしい)ことである。
だから作品では「誇りのために戦う」だのと寝言を唱えながらも、実生活ではブックオフ排斥運動の肝いりになったりして、「収入が減ってしまったら、マンガ家を目指そうとする若者がいなくなってしまう」なんて小汚い本音をぶちまけてケロリとしている。あんたじゃあるまいし、この世には金のためにしかマンガを描かないヤツばかりだとでも思っているのか。
もちろん作家というのはウソをつく商売であるから、マンガで言ったことを自身が遵守する義務などないし、金儲けその他、どんな動機で創作活動をしようと各人の勝手である。しかし氏の場合は、マンガでの主張と現実の我が身との間に何らの齟齬も感じていないらしいからタチが悪い。それともあたしが純情すぎるのか?
何やら作品評ではなくて松本氏への人格攻撃のようになってしまって申し訳ないが、せっかくの機会だから書かせていただいた。
氏に若い頃のような作家に戻ってくださいなどとは言わないし言えない。そんなこと不可能である。だけどせめて年相応のド馬になり、大人しく飼い葉を食んで暮らしてください。楓子のオ・ネ・ガ・イ・・・(^^)
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