No.27
宇宙猿人ゴリ日記・4
宇宙猿人ゴリレビュー・その9
米金センセにスペクトルマンの続きを早く見るように言われたので見始めた。
バクラー編、ほとんど拷問。
噂に聞いていた、「富士山よりでかいスペクトルマン」ってのをようやく見た。まるでスーパーウルトラジャイヤントキンググレートだ。
スケールからいうと身長6キロくらいはありそうな感じで、それが直径数百メートルはありそうなガスタンクを鷲づかみにして富士山を踏みつけるのだからすさまじい。一体どういう状況じゃ!日本特撮史上五指に入るシュールなシーンだ。
さて、シロアリ怪獣バクラーとの戦いでエネルギーを消耗した蒲生、例によってアパートに逃げ帰る。
また例のピアノ装置で体力を回復するのかと思いきや、今度は洋服ダンスに仕込まれたメカニックをガチャガチャいじくりたおす。何だか北○鮮の浸透工作員みたいだなあ。
しかも蒲生君、バクラーがまだ猛威を振るっているというのに、そのままガースカ眠ってしまうのでした。
「しまった、眠ってしまった!」
お前は期末試験中の中学生か!
あわてて外に飛び出すと、いつの間にか一昼夜が過ぎていて、辺りはバクラーによって廃墟と化しているのだった。寝過ごして都市の壊滅を招く、スゴイヒーロー。
これですっかり開き直っちゃったというかふてくさっちゃった蒲生君、のんびりと科学者の元を訪れてバクラー対策を話し合うのでした。
「先生、シロアリはどうやったら死ぬのでしょうか?」
「私は専門家ではないからよく分からないが、腹の中に住んでいる原生動物を殺せば、シロアリも死ぬと言われています。」
別にそんなことしなくたって、踏みつぶせば死ぬわい、シロアリくらい。
…などというヨモスエな展開が延々と続くのであるが、まあこの先は語らぬが花だろう。
このバクラー編を見た後、次のエピソードを視聴する決心がつくまで一週間くらいかかった。
あたしが常日頃こきおろしている、最近の産業廃棄特撮番組、「ロゼッタ」とか「ボイスラッガー」とかまあ色々あるが、そんなやつらもこの「ゴリ」のデタラメぶりに比べたらなんぼかマシである。
よくもまあ、こんな番組が公共の電波でもって放映されていたもんだよ。恐るべし、宇宙猿人!
宇宙猿人ゴリレビュー・その10
スペクトルマン「サタンキング」編を見た。
この回はなかなか特撮シーンが充実しているうえにストーリーにも比較的破綻が少なくてビックリした。
とはいえ面白いかと言われればもちろん面白いわけはなく、むしろぶっとんだ印象が少ない分だけ凡庸なイメージが強いなあ。トホホホ…。
ああそうだ、二代目Gメンギャル、立花みねこ嬢について書こう。
初代のヒロイン遠藤某がヒッピーみたいな風貌だったこともあり、みねこ嬢はその清楚で可愛らしい印象がなかなか良いと思います。
でも他人様のことを言うのはちょっと気が引けますが、エステとか行ってもうちょっとお痩せになった方がよろしいんじゃないでしょうか。
サタンキング編では、このコロコロしたみねこ嬢が水着にまでなるのだから頭が痛い。
彼女は怪獣に腕を折られて海中に転落した蒲生を救おうとするのだが、そこでいきなりヌバッと服を脱ぐ!服の下にはワンピースの水着が用意よく装着されている!(オイオイ)
どうやらこの女、常に服の下に水着を着けて仕事をしているらしい。街で気に入った男にでも出くわそうものなら、その場でいきなり脱ぐつもりなのである。
虫も殺さないような清純派を気取っておいて、とんでもない身持ちの悪い不良女だ。あたしは同性として恥ずかしいぞ。
さて、今回スペクトルマンは二匹の強力な怪獣に苦しめられるのだが、そのピンチを打破するべく、新兵器がネビュラから与えられるのだった。
その名もスペクトルガン!…と書くと何だかカッコイイ気もするが、少しもそんなこたありません。
見ている方としては、当然ウルトラブレスレットが初めて使用される時のようなカタルシスを期待する。つまり、スペシウム光線をものともしないベムスターを、一撃のもとに屠ってみせた、新兵器のあの痛快さだ。
しかしそこはそれ、やっぱピープロ。
たったの一撃で怪獣を木っ端微塵に吹っ飛ばせば、いかにも驚異の新兵器スペクトルガンなのだが、生憎そうはなりません。
銃を持たされたのが余程嬉しかったのか、やたらめったら撃ちまくるスペクトルマン!
怪獣は怪獣で、全身に弾を喰らってなおさら凶暴になり、走るわ喚くわ大騒ぎ。お前は香港映画の主人公か!
米金センセに聞いたところだと、このスペクトルガンなる新兵器、今後二度と出てこないそうである。
どうもこの番組において、脚本家連中は「何か書いてればそのうち終わるだろう」というスタンスで台本を書いているらしい。トホホホ…。
追記・ゴリなんだけど、「この世で狂人ほど恐ろしいものはないからな。ウワハハハハ!」って、あんたのことだろそりゃ。
宇宙猿人ゴリレビュー・その11
ようやく「サラマンダ編」、「三ッ首竜編」を見終わった。いやー、死ぬかと思いました。
それにしても分からない。脚本家連中は、一体どういうつもりでこの仕事に携わっていたのだろう。やっぱ、その日をしのぐためか?
スペクトルマンの脚本なら、このあたしだって一本2時間もかからずに書けると思うなあ。そのくらい、内容空疎で支離滅裂。
その上どうも、ピープロの方で、適当に内容を端折ったり、改竄している体が見受けられる。
だからストーリーが突然ワープしたり、知らん人が突然わいて出たり、どうでもいいシーンが延々続いたり、只のエキストラかと思っていた人物がいきなり人生訓を語り始めたりする。見ている方が正気を保つのが大変だぜ。
さてサラマンダと三ッ首竜だが、めんどくさいのでまとめて評価をさせていただくと、
「アホか!」
の一言だ。
内容のハチャメチャぶりはいちいち突っ込むのもはばかられるほどで、何というか、見ていると感染してきそうなほどバカ!抽選でバカの缶詰が当たる!
三ッ首竜なんか、ただ立ってるだけでバカ丸だしだもんね。
そもそも進化のベクトルがどこでどうネジ曲がればあんな気の狂った生物が誕生するのか分かりませんが、何しろ百科事典に図版まで載っているのだから、太古の地球には確かにあのような生き物がいたのであろう。ものすごい生命の神秘だ。
しかし、石油が膨大に埋蔵されているという第三地層(意味不明)に眠っていたため、石油をエネルギーとして利用するというのは分かるが(分からないか)、眠りから覚めると、空腹だってんで石油コンビナートを襲撃するというのが分からない。
お腹が減ってるなら、エサの豊富な第三地層で元通りに眠ればいいじゃん!・・・と突っ込んでも詮無いけどね。三ッ首竜に合理など皆無だもんね。
ゴリもゴリで、いつの間にか、完全な傍観者になってしまった。
暴れるサラマンダや三ッ首竜をモニターで眺めながら、
「うーむ、スゴイ奴だ」
とか、
「ええい、しっかりせんか!」
などとわめいているだけ。
ラーもラーで、ゴリの隣で
「スゴイ奴だ」
などとゴリのセリフを復唱しているだけだ。お前たちは「モスラ」のネルソンと雇われ外人か!
そもそもゴリとは、天才であるが故の偏執的権勢欲によって社会から追われた、孤高のアウトローではなかったのか。
そしてラーも、自主的にそのゴリを幽閉から解き放ったのだから、おつむの弱い与太郎軍人ではなく、(正邪はともかくとして)それなりの教養と思想を持った男だったはずである。またそういう彼らだったからこそ、氾宇宙規模の官僚組織であるネビュラへの敵役としてのキャラが任せられたのではなかったか。(任せてないない)
しかし今では、二人は視聴者に最低限の情報を伝える「石碑」のような役割になってしまった。しかもそこに書かれている文言が、権威ある古代語などではなくて、便所の落書きみたいなしょうもないモノなんだから始末が悪い。
ヒーローは精薄、敵役は与太郎地蔵、繰り出される怪物は狂人の上身障者である。
我々人類は、この恐るべき不毛な戦争を、ただ指をくわえて見守るしかないのであろうか?
・・・・というところで、ひとまずレビューはおしまいである。これ以降は見ていないのだ、ゴリ。
というのも、その頃米金センセが結婚してしまい、ゴリのダビングどころではなくなったからである。
残念なような助かったような心境だが、せめて最終回くらいは後学のために見ておきたい気もします。
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