番外記事

キミは虫の叫びを聞いたか?(1)

 
 
 松竹映画の空想特撮シリーズDVD-BOX入手記念・ダイジェスト紙芝居の第2弾です。

 今回のお題は、


「昆虫大戦争」!

(1968年度作品)

 

 タイトルや各種宣材を見ると、「スクワーム」とか「スゥオーム」みたいなインセクトパニックムービーという印象で、だとすれば邦画としては比較的珍しいジャンルでないかいとワクワクしますが、実際の内容はどうなのでしょうか。

 それでは本編をご覧下さい↓

 ドドーン!と核実験の記録フィルムから始まる本編。

 テロップから分かる通り、本作は熱核戦争勃発に対する恐怖がテーマとなっています。

 何だか社会派っぽいぞ!(大ウソ)

 タイトル画面です。

 デーン!と大書されたロゴは、「ギララ」よりは余程ヤル気が感じられてエエんでないかい。

 物語の舞台となる「亜南群島」が俯瞰特撮で映し出されます。

 南海に浮かぶ群島ですが、主に親島と子島の二島にのみ人が住んでいます。

 その亜南群島上空を、アメリカ軍の戦略爆撃機がフライパスしていきます。

 この爆撃機が大事件の発端となるのでした。

 水素爆弾を積んだ爆弾倉には、爆撃手の黒人兵・チャーリーが座っています。

 彼は汗ビッショリで、ずいぶん体調が悪そうです。

 とうとう床に倒れて苦しみ始めたチャーリーを、白人のクルーらが小馬鹿にしたように見下ろして曰く、

 「ハハハ、コイツは麻薬中毒なんだ」

 「仕方ない、麻薬を打ってやれ」

 
ってオイ(^^)

 ポン中患者をクルーにしちゃうのみならず、さらに麻薬を与えちゃう優しいアメリキ軍なの。

 あまりのテキトーさにバチが当たったか、爆撃機は突如として襲ってきた虫の大群によってエンジンが爆発!

 亜南群島近海に墜落してしまいます。

 この大事故を、子島のビーチで乳くり合いながら目撃したカップルがいました。

 その2人とは・・・・

 男はジョージ秋山という冗談みたいな名前の混血(?)青年。

 演ずるは何と、若き日の
川津祐介

 悪人ではないけれど、短慮で愚かな不良青年といった役どころです。

 女の方はアナベルというブロンド美人で、妻帯者であるジョージをつまみ食いしているビッチキャラです。

 演ずるは「キイハンター」等で有名な
キャシー・ホーランで、当時は何と19才!

 グアム島の米軍司令部では、水爆紛失という非常事態に大騒ぎ。

 爆弾を回収するため、特命隊長としてゴードン中佐が派遣されることになりました。

 そんなに重要なモノなら薬中患者をクルーにすんなっつーの。

 チャーリーらクルーたちは、何とかバラシュートで脱出し、子島の洞窟で救出を待っていました。

 しかしそこを何者かが襲撃し、2人が殺され、生き残ったチャーリーも重傷を負ってしまいます。

 一体何が起こったのか?

 一方こちらは親島にポツンとある小さなホテル。

 ここはバーも経営しており、どうやら群島内で一番にぎやかな所らしいです。

 どんだけ過疎なんだよって。

 そんな寂しいホテル界隈が、水爆回収隊の到着によって、にわかに騒がしくなってきました。

 「一体何事なんだ?」

 と訝しむホテルのオーナー(左)と、従業員の女の子・ゆかり(右)。

 こ、このゆかりという娘は、まさか・・・・

 そうです!美しきチャレンジャーこと新藤恵美ちゃんなのでした!!

 彼女は本作ではジョージ(川津)の新妻役であり、ビッグ4クリア魔球は投げません(当たり前だ)。

 この人も、出演当時は19才!

 ゆかりの元へ、ようやくジョージが帰ってきました。

 しかし彼はチャーリーが落とした時計を隠匿していたため、米軍から捜査を命じられた警察によってタイーホされてしまいます。

 美しい新妻をほっといて浮気三昧だわ時計はパクるわ、全く自業自得のバカ男ザマス。

 夫が逮捕されて途方に暮れるゆかりは、東京にいる昆虫学者・南雲義人に助けを求めました。

 南雲博士は、ジョージが採集する毒虫を研究に利用していたという縁があるのです。

 南雲を演じるのは
園井啓介氏。二枚目だけど短躯だなあ。

 早速島にやって来た南雲博士は、ジョージに面会して開口一番、

 
「ジョージ君、毒虫をありがとう!」

 どんな挨拶なんだよそれは!って、コメンタリーの樋口、みうら氏が揃って大爆笑(^^)

 ジョージはパイロットらを撲殺して時計を奪ったという嫌疑をかけられています。

 本人はそれを否定するのですが、アナベルとの浮気が露見するのを恐れ、アリバイ供述を渋ります。

 南雲博士はパイロットの死体を検分しますが、死因は判然としないのでした。

 生き残ったチャーリーに事情を聞くために軍病院を訪れた南雲氏は、そこで美しい看護婦・小室純子と出会います。

 演ずるは
瞳麗子氏。

 非常にグラマラスな女優さんで、肉感的なお母さん役などが印象的な人です。

 ちなみにチャーリーは記憶喪失になっていて、証言は不能状態。

 南雲氏はビーチでアナベルとも対面。

 何と彼女も昆虫学者であり、日本人がこの島に大挙押し寄せる前に、稀少な昆虫を採集しているのだとか。

 つまりこの阿南群島は、返還前の沖縄のカリカチュアであり、実質的に米軍占領下にあるようです。

 場面は変わって、仲良く夕食をパクつくジョージ・ゆかり夫妻。

 おやジョージは保釈されたのかしら?と思いきや、ここは留置場の中で、ゆかりの差し入れを一緒に食べているらしい。

 昔の地方警察はかようにノンキだったのか、はたまた映画ならではのスチャラカでしょうか。

 ここでゆかりは妊娠していることを明かし、ジョージは大きく動揺します。

 翌日も事件について調べ続ける南雲氏は、ゴードン中佐から不審の目を向けられてしまいます。

 「何故しつこく嗅ぎ回るんだ?お前は東側のスパイか?」

 「西も東もない。ボクは1人の青年を救いたいのだ!」

 とか何とか、まるで噛み合わない会話が楽しいにゅ。

 水爆の行方、ジョージの嫌疑、そのどちらも、チャーリーの記憶さえ戻れば明らかになることです。

 中佐と南雲氏はひとまず協力し合い、チャーリーの記憶を回復するための療法を施すことにしました。

 その療法とは・・・・

 「チャーリーは虫が嫌いだ。だから虫の映像を見せればショックで記憶が戻るかもしれない」

 という、テキトー極まりない、ていうか療法じゃなくて拷問だろそりゃ(^^)

 案の定、チャーリーは「イヤだー、虫イヤだー!」と泣き喚くばかりで、サッパリ要領を得ないのでした。

 何とか手がかりをつかみたい南雲氏は、パイロットらが襲われた洞窟を訪れます。

 小室看護婦が案内役で付いてくるのですが、さっきまでの凛としたナースぶりはどこへやら、派手な服に着替えて南雲氏にしがみつき、

 「先生ェ〜、怖いわァ〜」

 とナヨナヨ声を。

 東京から来たハンサムな青年科学者を、最初から狙っていたのに違いありません。どういうビッチでしょうか。

 しかし2人はここで何者かから銃撃を受け、さらにナゾが深まってしまいます。

 ジョージは更なる取り調べのため、東京へ護送されることになりました。

 「赤ん坊が生まれてくるってのに、犯罪者に仕立てられてたまるもんか」

 と思い詰めたジョージは、警官らのスキをついて海に飛び込み、まんまと逃走してしまいます。

 再び1人で取り残されてしまう新妻ゆかり。そんなダンナ見限れよ。

 一方のチャーリーも軍本部へ移送されることになりました。

 しかしその移送途中、ナゾの武装集団から襲撃を受け、チャーリーは何処かへ拉致されてしまいます。

 一体このオハナシは何がどうなっちゃうのか?

 どうでも良いナゾばかり羅列されて視聴者はどうすればイイのか?

 そもコレのどこが「昆虫大戦争」なのか?

 全ては後編で明らかになる!・・・ような気がしないでもない・・・・

(つづく)


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