No.14

「D」

  一部でカルト的話題をまいた、メカニカル&ブラッディバイオレンスムービー「D」をようやく見ることが出来た。
 最初にハッキリ書いておきますが、
イヤ〜、ヒドイ作品。
 巷間好評だと聞いて、「見たいな〜」などと言っていた自分に、は・ら・が立ちますわ全く!!
 以下、腹立ちに任せてこき下ろしまくります!



 あたしが本作を初めて知ったのは、確かグラフィックワールドか何かの記事でだったと思う。非常にアグレッシブな快作であるとか何とか、とにかく誉めてあった記憶がある。
 その後「アニメ批評」誌などでも好意的なレビューを読み、
 「ふうん、そんなに面白いのなら見てみたいなあ」
 なんて漠然と思っていたのだった。



 「アニメ批評」誌にはプロデューサーである岡部氏のコメントが載っていて、氏曰く、
 「・・・世間的に認知されずにウズウズしているヤツらが、モラルで語れないことをやる。そして自滅するさまを映像にしたかった・・・」
 フンフン、イイじゃない。
 そして評者が曰く、
 「面白いものは面白いというエンタテイメントの精神が貫かれ・・・・下品と非常識が我々を引きつけて離さない・・・・云々」
 なるほど、期待が出来そうである。
 で、内容はと言うと、
 「宇宙から飛来した不定形生物が、人や動物に取り憑いて次々と怪獣化させる。立ち向かうのは、傭兵くずれの無法者が駆る、強力無比なコンバットスーツ!新宿を舞台に、血と硝煙のドラマが幕を開ける!」
 って感じらしく、何かベタベタすぎとはいえ、キチンと作ればいかにも面白そうだ。
 やけにしゃっちょこ張った屁理屈は並べるけれど、エンタテイメントとしての中身はアリの鼻毛ほどにもないヘッポコ作品が幅を利かせる昨今、シンプルなバイオレンスとぶっ壊しカタルシスを核とした映像が国産で楽しめるのなら、素直に歓迎すべきであろう。



 さて本作はVシネマ頒布か何かだったのであるが、先日WOWOWでもオンエアしてくれたため、遅ればせながら視聴の機会に与ったワケです。
 で、見終わっての取りあえずの印象はと言うと、
 「殺して〜ッ!誰かいっそあたしを殺して〜ッ!」
 とクマ先生よろしく叫びだしたいような感じでして、ハッキリ言ってウンザリの26乗。何この作品、バカじゃん。



 腐したい点は星の数ほどあれ、まああえて一つだけ挙げるとしますと、そもスタッフに絵的なセンスが全く無いということ。
ハッキリ言って砂場の落書きレベル。
 ここで「絵」というのは、要するに特撮としての包括的な画面設計のことであって、訴えるべき文芸的テーマを持たない本作においては、その部分こそが眼目と言えよう。しかるに、「D」には見るべき「絵」が存在しないのである。



 コンバットスーツ(要するにパワードスーツ)が繁華街で大暴れというモチーフは良い。戦う相手が巨大なモンスターだというのもいいでしょう。
 しかしそういう馬鹿馬鹿しいシチュエーションに、映像の迫力でもって無理やり説得力を持たせてこその特撮じゃないですか。



 コンバットスーツがガチャガチャ機動し、ロケットモーターでホップをするたびに、アスファルトがめくれ舞い上がる!装備した機関砲が火を噴くと、その反動を処理できずに機体がバコバコ後ずさる!怪物の腕や足が銃撃に切り飛ばされ、レストランの窓を破って飛び込んでくる!
 そういう、大都会でやってこその痛快アクションを期待していたのだけれど、画面の印象は、CGアニメをただ単に実景にはめ込んだだけみたいな感じ。
 怪獣やコンバットスーツが動いても砂煙が上がるでなく、銃弾でビルが壊れるでもなく、車や通行人が踏みつぶされるでもない。コンシューマの格闘ゲームの方がまだマシです。



 コンバットスーツは着ぐるみが用意されているのだけれど、ヨチヨチ歩くのが精一杯というしょうむないモノで、腕の機関砲が重すぎるためか、終末動作は常にブレている。
 ガシーン!と機械的に動作、ロックしてこそのメカアクションじゃない!しかも発砲シーンには反動も表現されていないという手抜きぶりで、何だか腹が立ってきちゃったぞ。
まるでニューメカゴジラとサイボットゴジラを足して2で割って格好悪くしたみたい。



 ね、バカでしょう?
 こんなにバカのクセに、能書きだけは一丁前なんです、この岡部なる監督。
 「アニメ批評」において彼が曰く、
 「日本のプロデューサーの欠点は、出来ない注文を、予算もないのに、ビジョンだけで語ること」
 であり、この「D」においては
 「制約の中でのコストマネジメントが上手くできた」
 と自負しているそうだが、出来てないない!こんなジャンクムービーしか撮れないのならば、最初から特撮なんかやめておきなさい!
 エンタテイメントのセンスも何もなく、出来もしないビジョンをゴリ押しし、しかもそれに無自覚なんだから始末が悪い。



 プロデューサーもバカなら評者もそれに輪をかけたバカで、だから「アニメ批評」という雑誌のレベルは推して知るべきですね。要するに、バカの佃煮。
 評者がまとめて曰く、
 「日本特撮の閉鎖された重い扉をハンマーで打ち壊すような痛快作」
 だって。
 どこぞの国の首相もしかりですが、
頭が良くない人というのは、なるべく黙っていた方がイイと思うけどなあ。まあ自省する脳容量にも事欠くのでしょうけど。



 ・・・・何かいつにも増しての毒舌ぶりになっちゃいましたが、これは電波に命じられて、やむを得ずに書いたんです。
 ホントのあたしは口数の少ない清純派なんですよ。いやホント。


→電波館のトップへ戻る