No.49

このアニメはこう見やがれってんだ!(12)

 毎度口さがないアニメレビューにゃ。
 3作分扱っていますが、いつもは3つレビューすればそのうち1つはまあマシという感じでバランスが取れているのに今回は全滅だ!どれも埒がないとケタグリ喰わさにゃならぬ。
これではあたしがエバってばかりいるイヤな人間みたいではないか。
 ただでさえインテリであるというだけでマジョリティたる愚民共から故なき反発を買っているというのに、それがますます甚だしくなっちゃうのはイヤンイヤン。
 たまにはあたしが朗らかに持ち上げたくなる作品を作ってみろってんです。でないとあたしの人となりが誤解されてく一方じゃんか薄バカスタッフ共めが。

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全編にあかほりさとるのバカ放射能が充満したバカの中性子星のようなスーパーウルトラバカ作品。視聴中に目を閉じて、どのシーンで目を開けても必ずバカが目に飛び込んでくるという超絶バカっぷりだ。ぱぎゅ〜、バカで、バカでお乳が破裂しますゥ〜、御主人様ァ〜ん。



 いや、決してバカだからといってバカにしているわけではない。
 確かに内容は救いようもなくバカだし、お乳とお尻がせいぜい14禁程度の中途半端な淫靡さでプルプルしているだけのバカ画面は、まさに手遅れクラスのバカでもなければとても視聴に堪えまい。
 しかし本作は、底なしバカ作品だということを最初から正しく名乗って商売をしている。ストーリーだのアクションシーンだのを楽しませようという作品でないことは、どんなに気合いの入った大バカだって、シリーズ冒頭5分間を見れば理解できるだろうからだ。故に許す。環境ソフトエロ画像として、そういうものを見たい人が見ていれば良いんだもんね。
 間違えて見ちゃった人がバカに当たって死なないようにとの配慮なのか、15分ワク12本と短かく作ってあるのも
良心的だ。
 少なくとも、同じバカ作品のくせに、ロボットアニメぶりっこをしてみたりインテリぶりっこをしてみたりと小賢しい「グラヴィオン」とか「ラーゼフォン」なんぞよりはよっぽど好感が・・・いや持てやしないけれども、
こんなチンピラには大した悪さも出来やしないだろうと、片目をつぶって検問を通してやりたい気分だぁね。



 ところで、そんなどうでも良い本編内容についてよりも、こういう作品の常で、またぞろ井上喜久子氏が出演されていることについて物申しておきたい。



 一体あの
ステキなステキなステキな喜久子お姉さまは、どうしてこう極端なバカ作品とか、アンアンイヤ〜ンダメヤメテなインモラル方面の作品とかに出られるのがお好きで仕方ないのでしょうか。かつまたどうして、それらの役柄全てを、完璧に、しかも楽しげに演じきってしまわれるのでしょうか。
 いやあたしは別にお姉さまのお仕事自体を詰っているのではない。あたしが困るのは、そんなバカアクトにルンルン興じているお姉さまでも、いやむしろそんなお姉さまをこそ、あたしが好きで好きでたまらないことだ。
 お願いですお姉さま、
これ以上楓子の人間を下げないで!あたしをいつまでも、ゴミムシみたいなミーハーヲタが100億人同時にかかってきても鼻息で吹き飛ばせるようなスーパーインテリのままでいさせてください!

成恵の世界


 丸川トモヒロ氏のマンガ作品をあのスタジオ・ライブがアニメ化したもの。
 あたしは毎度読んでいませんが原作マンガはなかなか面白いという評判だったし、総監督を芦田豊雄氏(懐かしい名前だ。この人今はプロデューサーやってるんですね)が務めると聞いて、放映開始前には結構楽しみにしていました。
 しかし番組が始まって唖然呆然。異っ常〜につまらない!!
 上のマウスなんかはまだ「バカだなあ」とか「くだらないなあ」とか思えるだけマシである。成恵はただただもうひたすらつまらなくて退屈なだけなのだ。ほとんど火の鳥未来編のマサトの心境。
スゴイ世界だ成恵の世界!



 原作マンガはなかなかの人気作だそうだから、それなりの魅力というモノがきっとあるのだろう。キャラがもっとコケティッシュに描けてるとか、萌えセンスが絶妙だとか。知らないけど。
 しかるにこのアニメ版には見るべきモノは何もない。ストーリーなんか真空だし、ドラマもキャラの心情描写も子供の紙芝居レベル。しかも萌えと言うにも弱すぎる。もっとえげつなかったりエッチかったりしなきゃダメでしょう。



 芦田氏やスタジオ・ライブのお仕事をあたしは評価していたけれど、こうまで程度が下がっちゃどうしようもないよね。馴染みの老舗旅館を久しぶりに訪ねたら、古いだけでホスピタリティ0点のヘッポコ宿に変わってたような気分。
廃業してたも。



 追記・本作はクソみたいなアニヲタ少年が美少女とラブラブになるという、マクロス以来連綿と続くブタ妄想エンタテイメントの一種であるが、フィクションとは言え、んな駄法螺はいい加減打ち止めにしたらどうかなあ。
 オツムの弱いヲタだって夢くらいは見ても良いじゃないかという御意見もあろうが、せいぜい限定のフィギュアを買えてワ〜イラッキ〜という程度の夢にしておくのが分相応ってもんだぜ。
 まともな女はヲタなんか決して好きにならないのである。つかヲタなんか死んでも良いと思ってるのである。つか是非死んでください。
つか絶対死ねよヲタ共!!
 地球に住まわせてもらってるだけでも申し訳ないと畏まってしかるべきところを、妄想の中とは言え女の子と仲良くなりたいが聞いて笑わせら。ったくヲタってのはさあ。


 
 追記2・ちなみに恥ずかしながら、このタイトルはヴォグトの「非Aの世界」 のもじりなんだろうかと中盤でようやく気が付いた。ヴォグトが存命なら本作を見てさぞ御立腹・・・しないかな。晩年はアルツハイマーを患われてヘロヘロだったそうだから。

魔法遣いに大切なこと


 角川大映映画の手になるもので、映画会社がテレビアニメシリーズを、それもオリジナル企画を手がけようという意気に感じ、始まる前から大いに期待していた作品である。しかしいざ見てみると、そのあまりに陳腐で散漫な内容にガックシ。
ダメだよこんなもん作ってちゃ。



 本作は最初実写映画として企画が上がったそうだが、なるほど当節のクソつまらない邦画の香りがほのかに漂ってきますわい。
 人気ジャリタレを起用して適当に癒し系っぽいジャンクストーリーを演じさせておけば、白痴の観客がそこそこ足を運んで「もォ〜、スゴイ泣いちゃいました!」などとCMでアホ面さらしてくれるのが実写邦画の現状ではあろうが、でもアニメってそんな甘っちょろいもんじゃにゃ〜だで。ナメちゃイカンよチミ。



 具体的に何がイケナイと言って、とにかく根本的に脚本がダメダメだ。何というか、
文芸としての背骨がない感じだな。
 この世界の人にとって魔法とは何なのか、人は魔法によってどう救われるのか、あるいは救われないのか、主人公のアイデンティティと魔法はどうリンクするのか、そういう大事なこと全然描けてないじゃないか。逆に言えば、魔法なんかなくたってちっとも困らないオハナシなのだ。
 無論雰囲気だとか感傷だけで何となく面白く成立している作品も世の中にはたくさんある。しかしそういう作品は、美術やキャラに独特の味わいを持たせたり何だりという、文芸本体の弱さを補完する演出がちゃんと為されているからオッケーなのだ。本作はそうじゃないんだもん。何から何まで無個性で薄味なんだもん。



 ちなみに無個性というだけで、キャラ(のビジュアル設定)や美術のレベルが低いわけではない。むしろ相当にハイグレードだ。作画レベルも高めで安定している。だから脚本さえよければ、それらを十二分に活かせたのにと惜しまれる。
 原作及び脚本担当の山田某はそのスタッフの頑張りに対して深く恥じ入り、創作に関わる者の心構えを一から勉強し直して欲しいですね。


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