No.57

このアニメはこう見やがれってんだ!(18)



鉄人28号


 
巷で原作レイパーだの旧作クラッシャーだのと異名を取るスカタンプロデューサー今川泰宏がまたやっちまった!という感じのトホホ作品。もうアニメ監督なんか辞めてくれよ頼むよマジで社会の迷惑なんだよ今川ブー。



 いずれ別の所で詳しく述べる機会があると思うが、氏の、特にロボットアニメが何故ダメなのかというと、ぶっちゃけロボットアニメになっていないからである。つまり
ロボットアニメというジャンルを入れ物に使う意味が全くない作品内容なのだ。「Gガン」しかり、「Gロボ」しかり、そしてこの「鉄人」もまた同様である。



 物語は、高度経済成長に沸く戦後日本を舞台に、この国の戦中戦後のデタラメぶり(民族の命運を賭けた大戦争の最中なんだから、多少人の道に外れようと知ったこっちゃないよ→取りあえず大切なのは日々の口過ぎなんで、民族の誇りだの美徳だのは知ったこっちゃないよ、という無恥な御都合主義)を、超兵器「鉄人」がその一身に罪として引き受け、人柱として葬られていく悲劇を描いている。
 そしてまた、その時鉄人と共に埋められたのは果たして罪だけであったのか?日本人がそのアイデンティティまでもを無自覚に埋葬してしまったのではないか?ということをテーマとして問いかけている。



 そのテーマ自体には是も非もないが、生のままドラマの表層に浮いて見えているそれについて、登場人物皆が安さ満点かつ辛気くさいやりとりを延々続けるだけっつー作り方は正直アフォですか?
 本作は「鉄人28号」なんでしょうが。であるならば、鉄人が鉄人(巨大ロボット)にしか出来ない活躍をまず盛大しなきゃイケナイのは自明であって、つまり人型の超兵器が勇ましいマーチと共に悪い敵ロボットとバキバキ殴り合い、いきおいビルは倒壊するわ街中の電線はブチ切れるわ車は踏みつぶされるわ電車は脱線するわ火は出るわ水は付くわとエライ騒ぎだけどイイぞ鉄人!やっちまえ!と
御近所大喝采!みたいな活劇のカタルシスをこそ表現の軸に据えるべきでしょうそちらをこそ真のテーマとするべきでしょう違うかね?(その伝で、まあせいぜい見れたのは第二話くらいのものか)



 よし上で書いたような重たいテーマを扱うのだとしても、いや扱うのであればなおのこと鉄人の活躍をスーパーカッコ良く描いておかなければイケナイのであり、何となれば、そうしてこそその運命の悲哀が際立つからである。
 しかるに本作では、最初から何とはなしに疎んじられている鉄人がその印象のままに体よく厄介払いされていくような展開で、故に見ていて何も胸に迫るものがない。まさに作劇構造そのものがテンから間違っているのであり、毎度オツムの弱い老年ヲタにちょいとおもねってだまくらかせれば良いという卑屈極まりない物作りをしながらてんで屈託のない今川氏には、最初に書いた通りもうプロデューサーなんぞとっとと辞めちゃって欲しい。要するに、
お前こそ埋まってろ!ってなもんですよ全く。



 追記・そもバンガオー!がないってのがトンデモ興醒めだよね。それにバッカスやブラックオックスがあんなザコ敵扱いでイイわきゃない!ってお姉さんは思うなあ。鉄人のファンだなんてウソだろ今川氏。



超重神グラヴィオンツヴァイ


 どんなゴミクズ作品であれ決して粗略には扱わず、心を込めて批評をし続けているあたしではあるが、本作に関してはまあさすがにそうした誠意を放棄したって神もお赦しになるであろう。
 内容がどうしたこうしたなんてこたァともかく、

 


 
 とか書いてやるのも勿体ないわクソ虫めが。

住めば都のコスモス荘

すっとこ大戦ドッコイダー


 ヘボいヒーローがヘボい活躍をするという古臭さ満点のスラップスティック。
 アホらしさが突き抜けていればそれ自体優れたギャグになったと思うが、どうも全体に垢抜けないイメージ。何だか「小学○年生」に連載されてそうな「ズッコケマンガ」のノリで、狙ってそう作っているのは分かるけれど、上手く面白さには繋がらなかった感じだなあ。



 クライマックスも別にあんな「イイ話」にしなくて良かったんじゃないだろうか。あくまであたしの個人的な好みで言うが、アホらしいままでサラッと終わらせてくれた方が印象が良かったと思う。
 またいつまでも大学のサークル仲間同士(みたいな感覚)でねちょねちょモラトリアムっていれればなあという切ない雰囲気(それがテーマにもなっている)は良く出ていたし、心情的に共感もできるが、よしでは一生モラトリアムっていよう!と真顔で言われては、「モシモシお若い方」と諫めたくなってしまう。
 
それが叶わない哀切を描くのが文芸ってもんであり、作家のお仕事なんじゃないかなあ。いや絶対にそうだと思うじぇ。(そも原作がそういう構造なのなら仕方ないけれど・・・)



 誤解されると困るが、作品の出来は良い。昨今積み上げられていく一方のクズ駄スカ産業廃棄スーパーウルトラいらねぇアニメの山の中では相当に良心的なお仕事だと思う。作画も素晴らしいし。
 それだけにかえって、もっと文芸的に詰められたろうという不満も言いたくなるのであり、つまりどうにも見込みのない不良は躊躇無く見放すけれどもドッコイダーはそうじゃないと思うからこそ先生叱ってるのよ。分かってくれるわね?



 追記・エーデルワイスを最初に見たとき、何だよこのモロに釘宮理恵味の安直な炉キャラはと思ったが、EDでキャスティング見たらホントに釘宮理恵だったのでひっくり返った。りぜると言いサイバドールレナと言い、
水を得た魚ならぬ炉を得た釘宮。せいぜい末永くキモヲタ共を手玉にとってやっていただきたい。


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