No.60

このアニメはこう見やがれってんだ!(20)

 
 

プラネテス

 
 福島瑞穂が宇宙にまでバカを広めに行くバカアニメ。原作のコミックス(未読)は星雲賞まで取ったそうだから、そうつまらない作品であるはずはないと思うんだけど、このアニメ版はダメダメだ。何だか悲しくなっちゃうような超絶安さと痛さでっせホンマ。



 
そもこんな作品内容であれば、舞台が宇宙であったり未来社会であったりする必然性は何もないじゃないか。
 ははあ、宇宙ではこんな不思議なことがあるのか不便なことがあるのか怖いことがあるのか、この世界では人々がこんな暮らしをしてるのかこんなことが流行ってるのかこんなツールが普及してるのかっつー新鮮な驚きや面白さが皆無なんだもの。
 これなら、腕は良いけど何につけ覇気を欠く鳶の兄ちゃんが、一念発起して「太平洋イッキ横断橋」なんつー大プロジェクトに参加しようと奮闘する、なんてオハナシに置き換えたって何の不都合もあるまいし、また不都合がないというそのこと自体、本作が企画としてテンから敗北していることの証左だろう。
 要するに、人を宇宙って異境まで連れて行こうという気概も知的素養もまるで欠くスタッフがでっち上げたスカスカジャンク。白痴ですかマジで。



 追記・ちなみに作画や美術には全く不足がない。絵が描けないアニメ会社などと揶揄されていた昔日の体たらくがウソのようで、その点でのサンライズの精進ぶりは高く評価されるべきだろう。それだけにストーリーやキャラのあんまりなダメっぷりが惜しまれる。
 いい加減この会社も、キチッとしたドラマ、脚本の書ける人材を育てるという、真っ当かつ当たり前の努力をしてみてはどうなのか。
 オモチャの粗悪なCMフィルムで小遣い銭を稼ぐのも結構だが、同じ伝でまともな文芸作品も作れるなどという勘違いをいつまでもしているのならイイ物笑いだぜ全く。
 
 

D.C.〜ダ・カーポ〜

 
 最初フツーの他愛もないラブコメかと思って見ていたんですが、つか確かにフツーの他愛もないラブコメに違いないんですが、元々は18禁のえちぃ系ゲームが原作なのだと公式サイトで知ってビックリしました。と言いますのも、このアニメ版ってばサクサクと煩悩の脂が抜けたような食感なんだもん、ってテレビだから当たり前か。



 普通こういうギャルゲーぽいもののアニメ化というと、登場キャラ全員分のフラグを立てまくっておいてしかし恋の行く末はフォローせず、後はゲームでやってね味わってね未来は運命は貴方自身が決めるのよという感じの、ある種突き放した演出がよく見られる。
 ゲームというインタラクティブメディアをアニメ化するには、なるほどそれが一番無難、ていうか正しい演出法だろうと思うんだけど、しかるに本作は、フラグこそセオリー通りにブッ立てまくるものの、うちの一本をキッパリ選択してエンディングに突き進む。つまりゲームが提示しているのだろう多くの未来(=各ギャルキャラとのハッピーエンド)を、このアニメ版は積極的にふるいに掛け、なおかつその過程をドラマとして見せている。



 このやり方が結果功を奏したのかと言えば、あたし的にはハッキリ言って失敗だったと思うし(せっかく選んで見せた未来が、特に輝きに満ちたものとして、効果的に視聴者に印象づけられたとは思えないから)、どうもネット上で芳しい評価を見かけないのも、その伝で(あるいはポルノのポの字もないという伝で?)原作ゲームファンの不興を買ったからなのかもしれない。
 けれどもその演出法は、(本作を)ゲームの安直なCMフィルムにはしたくない、これはこれで独自の作品として見せたいし完結させたいとする、スタッフの誇りと意地がこそ採らせたものだと想像され、だからその壮図とチャレンジ精神は評価するべきだとあたしは思うんですがどうでしょうかダメでしょうか。
 少なくとも、人気ゲームのアニメ化だから適当に不足ない作画をしてさえおきゃほっといてもファンは見るだろうDVDも買うだろうザマアみやがれってな邪気は、あたしには感じ取れなかったんだなあ。まあ思い入れなどまるで無い一見(いちげん)客だから、原作ファンならば感じるのだろう不満や違和感なんか最初から共有しようもないんだけど。



 ちなみに作画や美術は高め安定レベルで好印象でした。
 フンワリとパステル調の色彩設計も、この作品のアクや毒の弱さ、マタ〜リした雰囲気には良くマッチしていたと思います。



 追記1・音夢ちゃんとっても可愛いけれど、クライマックス近くでいきなり
肉食獣みたいな獰猛さを発揮して、お兄さんをがぶり寄りにモノにするのは怖かった。
 そもあれではゆかりん、もとい、さくらちゃんが可哀想すぎるではないか。謝れ!ゆかりん、じゃなくてさくらちゃんに謝れ!



 追記2・あたし的にはロボ美春ちゃんがイチバン可愛かったな。ヘンにお涙頂戴になってない機能停止エピソードも悪くなかったと思う。同じ伝で、頼子さんとの別離も爽やかで良かったんじゃないかなあ。



 追記3・OP、EDとも明るく爽やかな曲でとても良いと思いました。聞いてるだけで華やいだ気分になるので早送りせずに毎回見ちゃったにゅ。
 
 

グリーングリーン

 
 初手から凄まじくお下劣だなあと度肝を抜かれたが、これも元々18禁のえちぃゲームが原作のアニメなのだそうだ。
 ただ出自が18禁とは言ってもジメジメした淫靡さとは無縁の朗らかなノリの内容で、バッチグーら三バカによる雪崩式のスラップスティックも楽しく、あたしは結構引き込まれて見てしまいました。
 キャラや作画もスッキリと明るい雰囲気で作品世界にマッチしているし、何も考えずに暇つぶしとして視聴するにはそこそこの良作と言えるのではないだろうか。
 残念なのは主人公とヒロインの絡みがドラマとして弱すぎることで、例えばその別離劇にしたって、勝手にズッコケた祐介クンをみどりちゃんが救い、結果現世に留まれなくなるというのでは、その理不尽さばかりが際立ってしまう。
 ここはやはりみどりちゃんをかばうなり何だりした結果祐介クンが怪我をするという展開にしておくべきであり、愛し合う2人がそのこと故に運命によって引き裂かれてしまうというドラマを用意するべきであったろう。もしそうなってたらあたしは泣いちゃったかもしれないぞ。まあこの手の作品でそうした文芸面へのツッコミは野暮なんだろうけれど。


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