No.77

このアニメはこう見やがれってんだ!(35)

 
 

ヒロイック・エイジ

 
 敵味方合わせて五体のイデオンが暴れ狂い、その足下でオーブ軍が踏みつぶされたり蹴っ飛ばされたり丸焼きにされたりしてユウナが泣くオハナシ。
 と書くと何だかバカマンガみたいだが、いや実際バカマンガなんだけど、いかにも「蒼穹のファフナー」のスタッフが手がけた作品らしい、異常にクソマジメな文芸と、飾り気のない素朴な語り口には好感が持てた。



 ただ主人公と呼ぶべきモノが存在しないので、感情移入して見続けることが不能なのはちと難アリかな。
 またノドスの戦闘力が圧倒的(とか言うのも虚しい超絶レベル)なのはカッコイイんだけど、ために彼ら同士の相克が人間たちのドラマから完全に乖離しちゃった恨みがあり、構成にもう一工夫あればと残念な気持ちにさせられました。



 それにしても、男子ってお姫さまに号令されたり傅いたりする話が好きだなあ。
どこがイイんだ、あんな発育不全のオカルト女。



 追記・文芸もビジュアルも地味すぎる本作だが、CVの品揃えだけはヲタへのアピール度においてなかなかだ。
 何しろ釘とゆかりんが双子のエスパーだわ、小清水亜美はヒンヌーロリのツンデレだわ、みゆきち姐さんはタイムリープして飛んでくるわ、清水香里はアイドル時代を全く思い出せない落ち着きぶりだわ、オマケに乳牛石けん良い石けん、もとい、ゆかなまで出てきてオッパイを振り回すわと山盛り大サービス。
 ちなみにディアネイラは田中理恵が演ずるのが本当だと思うが(笑)、石川由依氏も大変好演されていたと思います。



 追記2・最終決戦でビー(軍艦のAI端末)が力尽きるシーンは、ベタながらペーソスが上手く出ていてジーンとしちゃったあたしだぞ。が!一瞬後にはハイ無事でしたって、オマイは脱出マジシャンか。泣いた自分の純情ぶりに落ち込んだじゃねーか。



 追記3・ベルクロスって何かに似ていると各アニメ板で言われていたが、あたし的にはポリペイモスだとオモタよ。
 
 

交響詩篇エウレカセブン

 
 エウレカ面白い!深い!カッコイイ!とネットで随分な好評を聞かされていたのでワクワクしながら視聴し始めたんだけど、そんなこと書いてたヤツらの目玉は大したフシアナだぜ!と今では思っちゃってるお姉さんなのよ。もう退屈で氏ぬかと。
 一体こういうトホホなシリーズ構成をやってるのはどこの無能作家かと調べたら、「絢爛舞踏祭」の佐藤大であった。
道理で似たようなクソつまらなさだと思ったよ!



 どこがダメと言って、まあストーリーが根本的にやくたいもないというのもあるけれど、
アレもコレもとやたら節操なく詰め込んだ要素諸々が、しかしそのどれも描き込みの徹底を欠くため、全体として何を見せたいのか良く分からない、ボンヤリと薄弱な印象の作品になってしまっていることが何よりマズイ。



 その端的な例がメカの見せ方であり、主役ロボ群がリフボード(サーフボード様の飛行デバイス)に乗って空中戦を繰り広げるというアイデアは良いが、大気中に存在するらしい粒子の波をどう見きわめ、どう乗るのかという演出が効果的に為されていないため、結局ロボットたちがただ漫然と飛び回っているようにしか見えない。それならば最初からリフだボードだトラパー粒子だという設定なんぞヤメておけば良いのだ。
 本作ではその他のガジェットも世界観もキャラも全て同じ伝の中途半端ぶりであり、引いてはそのことが、作品独自の立体感、視聴者にアピールする迫力というモノを大きく損ねてしまっている。



 ひっきょう、主戦場を何処かも設定しないままポコポコ野放図に戦端を開いてしまい、○○高地の戦いでは兵が勇戦して勝ったとか、○○海戦に投入した新兵器は素晴らしい性能だったとか、一部でオラが軍は世界一なシチュもあったか知らないが、如何せん本土は丸焼けのボロ負けって感じの作品と言えましょうか。
戦争指導と文芸はバカにやらせちゃならないって総天然色見本だぁねェ。



 追記・にしてもこの佐藤大だとか、やはり絢爛に関わっていた浅川美也だとか、脚本家以外にも色々やってます!みたいな手合いにロクなのがいないように思うのは気のせいか。
 ダヴィンチみたいな天才ならともかく、俗人がハンチク仕事ばっかゴジャゴジャ増やしてんじゃねーよ。



 追記2・上で書いた「一部でオラが軍は世界一なシチュ」ってのは、もちろんその作画の素晴らしさを第一に言う。
 吉田氏の絵は少々古臭い味だけど、掛け値なしに上質。エウレカなんかにゃ勿体ないなあ。



 追記3・矢島さんと小山さんの過去話はベタながら良かったです。ツンだった矢島さんが、最後に「ノルブ、大好き!」と恋情を吐露しながら散滅していくシーンの哀切には涙が止まりませんでした。



 追記4・相手が人外の存在であっても交流を模索し、ついには愛し合うという文芸を強調するため、美少女ヒロインが途中から眉無しのタダレ顔になっちゃうという演出の思い切りは買う。
 しかしそのことが、「ブスでも良いけど、最低限見た目人間じゃなきゃお断り」という、ある意味当たり前な本音を、もっと言えば本作が安い建て前で成り立っていることを、逆に際立たせる結果となってはいないか。
 だってさあ、エウレカが眉無しになっても羽根が生えてもオッケーか知らないが、「ザ・フライ」みたいな怪獣になっちゃったらさすがに引くでしょう?
 そもレントンみたいな童貞小僧が、女の子の面つきやオッパイ以外に何を見てるってんだ。ハレム妄想系作品の白痴主人公の方が余程リアリティがあるぞ。



 追記5・全体のシノプシスが何かに似てるなと思ってずっと見ていたが、
要するにコレ、バカップルのラブコメ版ソラリスじゃないのかなあ。そう思うと余計に憎たらしい作品だじぇ。


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