No.40

このアニメはこう見やがれってんだ!(5)

 今回はテキストのボリュームはやたらとあるんだけど、取り上げてる作品はスカスカのフニャフニャです。こんなものが日々臆面もなくオンエアされている日本て楽しい国だなあ。北朝鮮の人々にも見せてあげたいわスムニダ。


おねがい☆ティーチャー


 WOWOWでノンスクランブル放送された作品で、ダメ人間となって久しい黒田洋介氏が脚本を、「花右京メイド隊」の井出安軌氏が監督を担当している。



 スタッフのコメントによれば、本作のテーマは「大人の魅力」。「男の子は誰でも経験したことのある、年上の女性に対する淡い想いを、せつなく、情感豊かに描く」んだそうである。
 いきなり引導を渡すようで恐縮だが、
そんなもんチョッとも描けてないない!
 何より主人公たちが運命的に惹かれ合ってしまう経緯が実にぞんざいにしかフォローされていないので、テンからドラマに入り込めないのである。



 主役の男子高校生は、身体的にも精神的にも完全に無活性化してしまう奇病にかかっていて、そのことが彼の自我を重たいくびきに繋いでいる。それは良いでしょう。
 その彼の前に現れた新任の美人教師は、実は他の天体からやって来た惑星観測員である。アホらしいが、まあそれも良いでしょう。
 2人はひょんな事から「新婚」生活を送ることになり、その秘密が、やがてクラスメートの中に波紋を拡げていく。もはや分裂病患者が書いたみたいなシノプシスですが、それも辛抱しちゃうあたしだぞ。
 しかるに!
 便宜上の新婚所帯でいきなりモジモジドキドキハァハァされたって、見ている方としてはキャラたちの心理にシンクロするどころか、そのオツムの中身を疑うばかりである。
 異性と一所(ひとところ)に入れられたら、それで無条件に盛りが付いちゃうですか?よしそうだとしても、それの一体どこが「大人の魅力」にあふれた女教師でしょうか。
単にオッパイが大きいだけの色キチ宇宙人じゃないですか。
 そんなクルクルパーのキャラに、あのステキな喜久子お姉様をキャスティングするなんて、こりゃもう
セクハラだぞ!いや実際、アホらしく恥ずかしい演技をさせることによって、喜久子姉様をイジるというだけの企画だったんじゃないかと勘ぐりたくなる。死すべし変態スタッフ!呪われよタワケアニメ界!



 また、実はこっちの方が本命のテーマだったんじゃないかという仲良しグループの群像劇部分も、全体に舌足らずな反面、変にドロドロしてて後味悪いしねえ。
 大体だな、主人公らに言いたいが、(森田健作風に)君たちゃ〜、明けても暮れても、ただただセックスのことしか考えとらんのかね?それが日々最大のテーマかい?あたら若い身体と頭と情熱を、唯一それでしか燃焼できんのか、ええ?
 世の中にはもっともっと、若いうちから真剣に思いを巡らせたり取り組んだりしなきゃイケナイことがあるんではないかな。例えばその、地球環境問題とか、南北格差問題とか、学級崩壊への対策だとかね。あたしは毎日そういうことを考えていたぞ。などと、あたしだってまだ若いのに、そんなジジイみたいなことを言いたい気持ちにさせられてしまうのが本作だ。
 見た人を愉快にさせたり不愉快にさせたり怖がらせたり笑わせたり泣かせたりってのがエンタテイメントでしょうが!
視聴者老けさすエンタテイメントなんてあるかい!



 というわけで黒田氏には、女教師モノのポルノムービーを23000本見て、いらぬ煩悩を完全に摩耗させた後に出直すことを命じる!・・・全く男ってさあ・・・・。



追記・本作に登場する森野苺(もりのいちご)というアヤナミ型のキャラが大人気を博しているらしいが、あたしも彼女と主人公がラブラブになれば面白いのにって思いました。少なくともみずほ先生よりは存在感あるもんな。
 このキャラのCVは田村ゆかり氏で、彼女が暗めの役を演じるのは比較的珍しいので興味深かった。あのキンキラキンのロリ声が活かせないのは勿体ない気もするけど、一生懸命演じている様子なのには好感が持てました。

七人のナナ

 
 「ジャイアントロボ・ザ・アニメーション」の今川泰宏氏による監督作品である。「連載・週刊少年チャンピオン」とテロップが出るので原作付きかと思っていたら、今川氏によるオリジナル企画だそうだ。



 実はこの作品、ビデオに録ってはいたんだけど、何かつまんなそうだったので、長い間未見のままほったらかしてありました。そのままだと腐っちゃうので先日ようやく見てみたんですが、あたしの予想はブチ甘かったね。
 何てか、単につまらないなんてモンじゃない。ジョジョ風に言うと、
ディ・モォールト!ディ・モォォォォルトつまんね〜ぞ!正味殺人的!心臓の弱い方が見たらつまんなさで死にます。そんなアニメ。



 お話しは、主人公の女子中学生ナナちゃんが、ふとしたことから七人に分裂(人格的にも肉体的にも)してしまうところから始まる。同時に強大な超能力(七色のプリズムパワーとか何とかいう)まで授かってしまい、同じ顔した七人が空を飛ぶわ街をぶっ壊すわ同級生を張り倒すわで大騒ぎ!・・・みたいな導入部。
 要するに「おそまつ君」に「レインボーマン」をミックスしたような(何だそりゃ)スラップコメディなのかなあと思って見ていたのだが、どうも様子が違う。本作で何を言いたいのか、やりたいのかがサッパリ見えてこないのだ。
 例えば「Gガンダム」なんかもそうだけど、物語のイントロが、薄ボンヤリした、目鼻立ちのあやふやな印象を与えてしまうことって、今川作品にはありがちだ。
平たく言えば「つかみ」に失敗しているワケだけど、本作も完全にそのパターンですな。



 本来ならその時点で視聴を止めてしまっても良かったわけだが、「せっかく全話分エアチェックしてあるのだし」なんて生来の貧乏性丸出しで見続けるうち、ようやく作品のテーマってヤツが見えてきた。
 第9話「甘い誘惑!恋と秘密とカンニング」ってのがちょっとイイ話だったんだけど(ホントにちょっとだよ!電子顕微鏡で見なきゃ分かんないよ!)、クライマックスでナナりん(分裂人格の1人)が泣きながら叫ぶ、「いいじゃない、テストの点数が低くたって!いいじゃない、いつもビリだって!みんなみんな、一生懸命頑張った結果じゃない!」というセリフに、「ああ、そうなのか・・・」って遅ればせながら気が付いちゃったあたしなのです。



 要するにこのオハナシ、
「受験期の揺れる心情」というヤツをマジで扱おうとしていたワケですね。
 主人公のナナは受験生なのだから、そんなの最初から気が付いてて当然だろうと言われるかもしれないけど、ナナが分裂したりウジウジ片思いに悩んだりする方に演出のベクトルが向きすぎていて、ついついそっちがメインのお料理かと錯覚しちゃったのだ。つまり「受験」というのはあくまでバックグラウンドかと思っていたらそうじゃなかったのね。
 その視点から改めて本作を俯瞰するに、なるほど目の付け所は悪くないなあと、あたしは思ったのでした。



 受験はツライ。誰だってツライ。
 人生で一番キラめいているべき瞬間に、およそクソ面白くもない公式だの文法だの年号だのと連日格闘しなければならないのだ。
 遊びに行きたい、趣味に打ち込みたい、ステキな恋をしたい・・・そんな、ある意味当然の欲求に無理やりフタをして、合格発表の日までは「死人」然たることを求められる。
 だけど勉強に疲れた深夜、ふと窓から街を見渡すと、クラスメートたちの部屋にも灯りが灯っているのが分かる。
 みんなも頑張っている。それぞれ孤独に、必死に、努力が報われるのだろうかという不安と戦っているんだ。自分だけじゃない。「その日」を目指してみんな走っているんだ!



 「七人のナナ」が描こうとしたのは、そうした、若者の主観からすれば不条理としか思えない試練(受験)に立ち向かわなければならない切なさであり、そんな日常からも何某かの喜びを掬い上げようとする主人公たちの健気なパフォーマンスだ。
 なるほどそれだけで立派にドラマとして成立しそうだし、よくありそうで実際にはあまり見ない(アニメという分野では)テーマでもある。上手く作れば確かに面白くなりそうだ。そう、上手く作ればね。しかるに
ヘタだよヘタ!ドヘタだよ今川氏!



 前述の通り、シリーズ構成が悪くてテーマが途中までボンヤリしているし、それぞれのエピソードも薄味でステロタイプで泥臭くてテンポ悪くて退屈の極み。
 七人いるナナたちはめいめいのキャラが全く立っておらず(ナナっことナナりんなんかどう違うのか?)、故に受け持ったエピソードを効果的に仕切ることが出来ない。その分逆に、大人数に同じセリフを唱和させる、毎度ワンパターンな今川演出のくどさだけは際立っている。ウザいニョ!堪らないニョ!
 オマケに演じる声優たちは、主役の水樹奈々氏を除けば、みな素人みたいなヘッポコばっか。それが全員同時にオバカなセリフを喚くのだから、見ているこっちの気分はもう、米軍横田基地の騒音公害訴訟における原告住民だ。あああ五月蠅いですわ!
 ビジュアル面でも見るべき所はなく、おしなべて不良な作画状態もさることながら、そもそものキャラ設定がどうにも泥臭い感じ。先生方のデザインなんか昭和30年代のマンガみたいだし、生徒たちの制服だって大昔まんまの詰め襟にセーラー服だもんなあ。まるでド田舎のお触りパブ。
 ナナの私服のセンスも何とかして欲しい。緑と黄色とオレンジとピンクとブルーのコーディネイトだ。
お前はゴーバリアンの敵メカか!まともに見たら目が潰れるわい!ええいクサすところが多すぎて何を書いてるのか分かんなくなってきたじゃないか!



 オハナシの方は、最後の最後に来てようやく真の敵が具体的に登場し、その敵と七人のナナたちとの激戦がクライマックスを形作る。敵の正体はハナからミエミエだが、逆に言えば納得のいく構成とも言え、この相克が冒頭からドラマへ組み入れられていれば効果的だったのにと悔やまれる。何もかもがトゥーレイト!トゥーリトル!戦略ミスは戦術では補えっこないのであった。
 トドメにあのラストはなあ。
 散々えらそうな啖呵を切って華と散ったキャラが、次の週にはのうのうと返り咲くのが常套の今川アニメとは言え、いくら何でもヒドすぎるでしょ。ちょっとホロッときかけていたあたしがバカみたいだぞ。これじゃ全てのドラマが無駄じゃない。



 というワケで本作を総括してみると、
 
今川さん もうアニメを作っちゃ いけねェだ
 って、つまんなさのあまり、意味無く韻など踏んでしまったり。トホホホ。



追記・それにしてもどえらい
デブッチョのヒロインだなあ。今川氏はこういうプクプクした娘がお好みなのでしょうか。思わずナナちゃんにあたし流ダイエット方を伝授したくなったぞ。

追記2・あのマーチ風のテーマソングは、楽しい雰囲気だし覚えやすいしでとても良いと思いました。アニメの主題歌っていうのはかくありたいニョ。
 サビ部分の「サクセス、サクセス、その日まで!」という詞の切なさが、本編でもちゃんと描かれていればねえ。

G−onらいだーす



 毎度ゴミ作品を量産する木村真一郎氏の監督作品。メガネっ娘萌えのオタク向けに、全キャラメガネッ娘という恐るべき厚顔無恥の戦略を持ってデモる最低作。
 いやいや、その構想自体を詰っているのではない。そういうウリの作品だってあって良いと思いますよ。だけどメガネっ娘で世界を構築し、メガネっ娘の魅力を追求するというのは良いとして、その入れ物だけでは作品にならないでしょってことです。
 本作ってば、ドラマもなければ見るべきキャラパフォーマンスも何ら無いんだもんな。だから制作者の安直で小汚い思惑だけが全裸で突っ立っているのが丸見えなのだ。いくら何でもこれじゃ見る方は鼻白むよ。泉昌之の「プロレスの鬼」ではないが、
「あたしはこんなもの作るヤツが許せん!」とか言って木村氏を成敗しに行きたくなったぜ。
 以上この作品についてはレビューをするのも勿体ない。オシマイっ!



追記・1 とか言いながら追記を書いてみたり。物語中盤からコスモ番長なるキャラが登場するが、彼のパフォーマンスだけはベタながら楽しかったです。変身するまいと苦闘するエピソード(ハイキングか何かだったか・・・)は大笑いしました。

追記・2 声優たちのパフォーマンスも全体にヘボいわねえ。特に嵐山セーラというキャラのCVが全然フィットしてないと思ったら、何だ南央美ではないか。オメェさんは十円安とかミナタクとかやってりゃエエだよ。美少女をやっちゃいけねェだ。
 それと田村ゆかりがまたまたアヤナミ系メイドさんを演じていてちょっとビックリ。
どうしたゆかりん!君はそっち方面のエキスパートとして新たに売り出すつもりなのか!
 そりゃあもう堀江由衣と一緒にパンツ見せて踊ってる年ではないかもしれないが、世の中ってそんな甘いモンじゃ・・・あるかもしれないな・・・。「ゆかりんの新境地に萌え萌えっ!」とか言ってる声優オタ共の群れが目に浮かぶぞ。トホホのホ・・・。


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