No.43

このアニメはこう見やがれってんだ!(7)

 今回は小粒のアニメ作品ばかりでメインディッシュが無いような感じなんだけど、いかに小品とはいえ内容の埒もなさでは大作に劣らないぞ!山椒は小粒でもピリリとくだらないのだ。イヤな山椒だけど。


超重神グラヴィオン


 たわけた養豚の道を突き進むGONZOの作品だが、それにしたって
呆れ返るほどヒドイ。本作と比べたら、獅子座流星群が来るわけでもないのに道ばたに突っ立って一晩中ボーッと星空を眺めてる方がまだ万一にUFOが見れるかもしれない分面白そうなほどヒドイ。だったらそっちを見ていろと言われそうですねスイマセン今度からはお星様を見ます。



 本作の体裁は「大昔の巨大ロボットアニメのテイストを現代の作画技術で再現してやれば喜ぶバカが一杯いるだろう」っていう、往年の「イクサー1」とか「ゼオライマー」なんかを彷彿とさせるようなウルトラインチキエンタテイメントなんだけど、実はそれすらも表向きのフェイクでしかなく、では正味何なのかというと
徹頭徹尾中身は何も無し!
 ロボットアクションシーンがスカスカなのは言わずもがな、ストーリーパートには主人公すらおらず、登場人物全員が脇キャラ状態。その彼らには陳腐な履歴らしいものがちょびっと用意されているだけで本人は何らの心情も有さない所謂石碑キャラなので、当然に語るべきドラマも皆無。まさに真空である。
 しかしそれだと毎週30分が保たないから、ではその間ずっと何をしているかというと、まあ毎度女の子のお乳を揺らしたりお股をおっぴろげたりヒップラインをモジモジさせたりという例のヤツであって、その醜悪な画面のコンボにはほとほと辟易する。
 無論下品でエッチぃエンタテイメントも大いに結構だ。しかし下品でエッチぃものを作ろうとして作るのと、何もやることがないから取りあえず下卑た絵でコマを埋めとこうというのとでは根本からして違う。要するに、
そも「作品」ですらないんだよなあ、グラヴィオン。



 監督の大張正己氏は若手(でもないか、もう)人気クリエイターだが、彼が以前ものしてWOWOWでオンエアされたロボットアニメも泥みたいな愚作(by・北陽)だったし、ハッキリ言っちゃえばテンからプロデューサーなんぞの器じゃないんだと思う。この人は所詮、そこそこに味のある作画が出来るアニメーターに過ぎないのだろう。
 何故そんな人がいつの間にやら「監督」などというポジションに収まっているのか・・・以前も書いたようにこの業界にはプロデューサーを育てるキチンとしたシステムが存在しないのか、あるいはそもそもまともな人材が数えるほどしかいないのか・・・は知らないが、いずれにせよ、職掌柄文芸的素養が必須の地位にそれとは全く無縁の人間がのうのうと就いている現状には、ゴステロ様じゃないけど「脳!脳が痛ェ!」よ全く!
 アニメ業界に寸毫でも意地だの良心だの羞恥心だのが残っているならば、こういうインチキ野郎には獣田の
50メートルパンチを2000発くらわして宇宙の果てまで放逐するくらいの自浄能力を見せてみやがれってんだ!何、絶対無理だ?へっ、分かってて愚痴ってるんでい!って、アニメ界の退廃と共にあたしの無垢な心もどんどん荒んでく気がしますわあ。


ストラトス・フォー

 
 何だこりゃ、くっだらねーのと思って見ていましたら、「ヴァンドレッド」シリーズの監督をやってるもりたけし氏と、「ナジカ電撃大作戦」なんかをプロデュースしている「ファンタジア」なるスタジオが手を組んで作った作品だそうである。・・・何もしょうむない者同士コラボさせんでも良いだろうに。



 と言っても本作は、「ヴァンドレッド」や「ナジカ」に比べればまだマシな作品に仕上がってると思う。一応はストーリーらしいものもあるし、ラスト5話分くらいはまあまあ盛り上がるし(海面上4センチ程度に)。
 難点は絶望的にキャラが弱いことで、ヒロインたる4人の女の子はただ地味なだけで地味故の味わいなど毫も無く、性格の書き分けもてんでおざなり。ハッキリ言って通行人Aレベルのキャラ立ちだ。つーか立ってない。ほぼ寝て
地面にめり込んでるぜ。
 そも彼女たちはビジュアルからして「ナジカ」にゲストキャラとして登場したアイドルグループの流用らしいが、まずはキャラ立てが弱けりゃ失格というのがエンタテイメントの基本であって、その作業をこんな風にヤッツケてしまう制作者はそもそもクリエイターとして鈍物に過ぎよう。



 かよういけぞんざいなキャラたちであるから、その内奥が生々しく吐露されたり、それらがぶつかり合い、絡まり合ってドラマのダイナミズムを成すなんてことは到底望むべくもない。
 当初は主人公(なんだろうなあ)のアイデンティティ再構築劇かと思わせたストーリーも、終わったときには仲間の一人をみんなで助けちゃおうかしらというだけのオハナシにすり替わってるしで頭グラグラ。超新星フラッシュマンじゃねェんだぞ全く。
 また侵略ものをやるならやるで、もっと効果的な伏線を最初から物語に組み込み、それをオチでガッチリ受け止める構造にしてしかるべきでしょう。脇キャラのつもりがいきなりワケワカメなメインステージに立たされてオロオロする香鈴ちゃんや、何しに出てきたんだか分からないストラトス・ゼロが気の毒だぞ。パイロットの交信を英語で行わせるなんてどうでも良いことにエネルギー使ってるヒマがあったら、そういうドラマ立ての基本にこそ意を注いでよね。作家の最低限の義務としてさ。
 つーことで総括すると、
シリーズ構成をテンからやり直して明朝ガンツ先生に再提出!って感じかなあ。



 追記・以下は完全にあたしの個人的な思い入れによる理不尽な愚痴を感情むき出しで聞かせてあげるからありがたく思いなさい。 
 まずもって、
よくもよくもあたしの大事なTSR-2をこんなしょむないアニメで汚したな〜ッ!!
 ただでさえ英国機好きにとってTSR-2といえばトラウマなのに、何だってその上白痴の小娘なんぞ乗せて萌えアニメのガジェットに堕さなきゃならん!あのスーパー美しい純白の機体が泣いてるぞ。
 そも「ナジカ」なんかでもそうだが、何ゆえ中途半端にマニアックな実在プレーンなど使うのか?オリジナルで良いじゃないか。
 素人にはあんなマイナー機は何のアピールもしないだろうし、といってマニアからはむしろ反発を買うだけだと思うぞ。薄いスタッフの薄い知ったかぶりなんざ痛くてたまんないぜ。
 それとなあ、いくら上手いからといって、毎度香鈴のように哀れを誘うキャラに折笠富美子ちゃんをキャスティングしちゃって申し訳ないと思わないのか!
 「フィギュア17」のヒカルちゃんとか「ラーゼフォン」の金ちゃんとか「最終兵器彼女」のちせちゃんとか、
可哀想な可哀想な可哀想な役ばかりやらされてる折笠さんにまたぞろ可哀想な役をやらせるなんて可哀想な折笠さんが可哀想じゃないかッ!ええいクソっ、ふみちゃん愛しさに日本語までおかしくなってきたぞ!
 これからはふみちゃんを目一杯優遇してお姫様みたいな役でおもてなししないと、もうアニメなんか見てやんないからな!バカ!・・・・・・・ウソです!どんなに哀しいセリフでも、その言の葉の一つを一つを慈しむように演じるふみちゃんがホントは大好きですだよ〜!!(←自分がイヤになる・・・)


天使な小生意気



 
そもそもあたしは原作付きアニメというのがキライなのである。無くなっちゃえば良いのにといつも思っている。
 んで本作「天使な小生意気」も原作付きで、少年サンデーに連載中の人気マンガのアニメ化らしいが、どえらい陳腐なシノプシスと垢抜けないキャラにトホホとか言いながら楽しくてついつい全話見てしまいましたとさ。こういうお茶目なところがあるから、あたしって意外と男の子にモテたりするのだと思います。



 原作のストーリーがどーなってるのか、そも面白い作品なのかなんてことは全然知らないけど、このアニメ版はダメ人間の青春群像を描いている。
 登場人物は皆それぞれに人並み優れた才能や社会的地位を持っていたりするのだが、基本的にダメダメ人間。異性にてんで弱かったり意気地がてんでなかったり社会性がてんでなかったりアホだったり変態だったりキ○○イだったりする。
そのダメぶりが楽しく愛おしい。何故ならあたしたちは皆ダメ人間だからである。



 つまり本作は極々ステレオタイプのコメディなんだけど、「楽しいコメディを作る」という作業にスタッフがひたすら専心している風がうかがえて嬉しくなる。せっかくのアニメ化なんだから萌えに振っちゃおうとか、そういう安直な邪気がないのだ。とにかくコツコツと泥臭いコメディ一直線。いいぞスタッフ!男前!
 こういう不器用ながらも真面目なお仕事、あたしは好きだなあ。長く感動と共に記憶されたり、また萌えヲタにアピールしたりは絶対しないだろうけど、見て楽しい気持ちになったことだけは視聴者の胸に残るだろう。
 もちろん萌えにもヤオイにもそれぞれの楽しさはあるが、そればっかりじゃつまらない。こういう普通にマジメな作品がまた増えてきたらイイよなあ。



 追記・もっとも、スタッフが単純に不器用すぎるだけで、故に原作をただなぞっていたらそこそこのコメディが出来ましたというだけのことなのかもしれないけど。もしそうだったら不明を恥じ入りますです。

 追記2・ちなみにあたしの好きなキャラは桂子様なのさ。それと林原氏はメグみたいなコミカルな役の方が断然上手い気がするなあ。本人も楽しそうに演じている感じで好感が持てました。


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