No.31

ゴミと何処までも

 またしてもニャントロ星人の猛毒電波です。可哀想に、彼らの惑星では日本のアニメ放映をグリグリ受信してしまうらしく、また真面目な彼らはそれらを軒並み視聴してしまうらしいのです。彼らと、そのチャネラーであるあたしのストレス軽減のため、どうぞ制作会社の方々はもうちょっと心を込めてアニメを作ってください。伏して拝みます。ホントです。・・・では猛毒アニメレビュー、行きまっせ〜。

ザ・ソウルテイカー 魂狩


 前評判の高さからかなり期待をしていた作品だったのですが、見事に肩すかされました。
ダーメだこりゃ〜。



 本作はタツノコプロが久々に放つロンリーアクションヒーローアニメであり、それ故にかスタッフが相当に勢い込んで取り組んでいるのが感じられる。それが端的に表れているのが作画であり、具体的に言うと、一般のアニメではクライマックスの心理描写などに良く用いられる白黒ツートンの画面構成によって、ほぼ全編が作画されている。
 実にアバンギャルドなチャレンジだったのだが、皮肉なことにまずその試みこそが、エンタテイメントとしての本作をスポイルしてしまった。
ハッキリ言って超見づらくって仕方ないのである。



 奇をてらうのは良くないだとか、基本が大事だなどと野暮を言うつもりは毛頭ない。作品に独自の味付けをしようという意欲はいつだって尊いし、それが一見破天荒な試みであっても全然オッケーだと思う。しかしその技法が「作品を面白くする」ことに何の貢献もしないばかりか、ひたすら視聴者の集中力を阻害する効果をのみ発揮していては本末転倒でしょう。
 実際見ていると明度差の大きい画面に目はチカチカしてくるし、どこで何が動いているのやらよく分からないし、何よりずっとクライマックスが続いているようなテンションなので精神的にくたびれてしまう。主人公が放つ必殺技にしても、のべつギラギラグルグルしている画面の中ではその迫力が際立ちようもない。要するに、スタッフの気合いだけが空回りしている感じかな。



 主人公に全く感情移入が出来ないのも困りもので、それは彼のみに責があるのではなく、そもそもこの異世界に何某かの社会があって人が住んでいるのかどうか、いるとしたら彼らはどんなアイデンティティを是として暮らしているのかがサッパリ描かれないため、
てんから物語自体に入り込めないのだ。平たく言えば世界観が確立されてないってヤツですか。
 だから主人公がいて、彼が戦う相手や組織がいるというのは良いが、どっちにどう肩入れして良いのやら視聴者としてはマゴマゴするばかりだ。そんなヒーローマンガなんて存在意義ないぞ。
 それでも主人公が世界観なんぞクソ食らえとばかりに暴れ狂ってドラマを引っ張ればまだ面白くなったかもしれないが、ひたすら暗くてブツブツ言ってマザコンでファザコンでシスコンでシンジ君なんだもんなあ、ソウルテイカー。



 どうしてヒーローものなのに少しもドキドキワクワクさせてもらえず、どころか陰々滅々たる気分にさせられなきゃならないんでしょう。
 時代がそれを求めている?ウソつけって。単に作り手も受け手もバカなだけだろうと、いつもの繰り言を喚きたくなっちゃいます。
 あ〜あ、
「ええい目盛り3だ!」とか言って注射針を腕にブッ刺すような痛快な御仁にはもう巡り会えないのでしょうかねえ。世の中悪なったでホンマ。

リアルバウトハイスクール


 あのGONZOが放つハイパースチャラカ産業廃棄アニメ。左手だけ使って5秒で作ったようなグレードにはマジで呆気にとられる。こんなものを商品にしてしまう心臓には
合金Z製の毛が生えているに違いないぞ。あたしはイヤミでなく尊敬してしまいましたとさ。
 しかしあまりにもいい加減に作ってあるため、そのスッキリした印象分だけ「ヴァンドレッド」なんかよりは退屈せずに見られるから不思議だ。どうせ安いクズ肉なのならば、ステーキにするよりは焼き肉の方がマシということなんだろうか。どっちにせよ出来れば食べたかないんだけど。

魔法少女猫たると


 タイトルは「まじかるにゃんにゃんたると」と読むらしいが、う〜ん、困った作品にゃ〜の。
 メイド服のネコ少女が魔法を使って活躍するという、あんまりと言えばあんまりな内容なんだけど、実際見てみるとあざといという程の印象でもないし、まあ不器用なりに悪気の無さそうな作りであることには好感が持てる。



 難点はマジで死ぬほど退屈だということで、いやもう毎回30分の上映時間の間に歯を磨いてお手洗いに入ってついでにお隣に回覧板を持ってったりしてたってストーリーが不足なく把握出来ちゃうほど退屈。要するに
中身スカスカなのである。
 タルトが巻き込まれる陰謀劇を描くなら描くで、全編を通しての骨太なシリーズ構成をするべきであったし、そうでないのなら単純なスラップコメディと割り切って、もっと各話ごとに密度の濃いエピソードを用意するべきであった。その思い切りを欠くために、本作は全体として何ら胸に迫るもののない、薄弱な印象の仕上がりとなってしまっている。カキ氷の話とかイリオモテヤマネコの話なんか、上手に作ればもっともっと面白くなると思うんだけどなあ。



 ちなみに監督はあの「アルジェントソーマ」の須永司氏らしいが、「アルジェントソーマ」よりも話数が少ない分だけ救われたという感じかな。こんなの2クールも見せられたら
脳死になっちゃうよ。せっかくマッドハウスが制作に噛んでいるのに作画も良くないしね。


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