No.53

あたしをスキーに連れてって(1)

 スキーを引退して長いので、そろそろ何処でどんなスキーをしたのか記憶があやふやになりつつあり、全部忘れちゃっては勿体ないので、この場をお借りして覚え書きというか滑ったスキー場のカタログのようなものを作ってみようと思ったり。
 つまり何だ、自己満企画であることは百も承知だけれど、たまにはこんなのも書いて、そこそこ元気だった青春時代を偲ぶよすがとしたいわけです。なんてな。
 まずは第1弾として、北海道、東北、関越エリアのスキー場を五十音順でフォローしてみます。ちなみに添付してある写真はあたしが撮ったものにゅ。


アルツ磐梯スキー場

 そのオープンが94シーズン最大のトピックスと言われた大規模リゾートで、なるほどスキー場そのものは規模もコースも大した物だったけれど、所詮はバブルに躍らされた哀しいカッペ企画であって、経営母体の磐梯リゾート開発は2002年にあえなく倒産。役員をしていたかつての大蔵省OB共は散々肥え太ったあげくさっさとトンズラ、という毎度の構図。
 同じような運命を辿った開発企画というのはそれこそ星の数ほどあるわけで、さすが天下の悪法と言われただけあって、総合保養地域整備法(リゾート法)ってのがいかにイービルなものだったのか良く分かります。(ちなみにスキー場自体は99%の債権放棄を経て今でも営業しており、入場者数もエリア1の盛況らしい)
 さてあたしがここを滑ったのは一度きり。仕事で知り合ったデザイン関係の皆さんに混ぜていただき、15人くらいの大所帯で猪苗代エリアへ出かけたのだ。
 着いたその日に滑ったんだけど、すぐに吹雪いてきてやむなく撤退。コースやロケーションはよく分からずじまいでした。


石内丸山スキー場

 苗場をホームゲレンデとしていたあたし達にとって、三国街道のさらに奥、つまり湯沢一帯のスキー場というのは、老舗が集まっているのは知っているけど特に行く必要を感じないところでした。何故なら苗場にはスキー場の楽しさの全てがあるからです。(断言)
 それでも湯沢地区の盟主たる石内くらいはいっぺん滑っておこうと思いましたのは、別にそこが楽しめると期待したわけでもなく、とにかく「石内を滑った」というキャリアを得て、「石内ねえ、まあ古いだけで何てことのないスキー場だよ」などと他人に通ぶりたかっただけという、スキーヤーというのは中級あたりから急速にイヤな性格になっていく生き物であります。
 そんなこんなで取りあえず滑ってみた石内の感想はと言うと、「石内ねえ、まあ古いだけで何てことのないスキー場だよ」ていうとこですか。
 リフトは短くてゴチャゴチャしてるし、何より苗場でのアーバンリゾートに慣れた者にとって、あの垢抜けない雰囲気は堪えがたいものがありました。
 ゲレンデの真ん中におでん屋が建ってるってどういうセンス?死んでよ田舎者、みたいな。


猪苗代スキー場

 滑ったのは一度だけ。コースの広さや、ゲレンデから猪苗代湖がドーンと見えるロケーションの良さに感動しました。
 残念ながら天気が悪くて快適スキーというわけにいかなかったんですが、機会があったらまた是非滑ってみたいスキー場です。
 ちなみにここへ行ったときはメンツ総数に対して運転免許所持者が極端に少なく、ペーパードライバーのあたしまでが運転をさせられました。
 6人乗りのワゴン車で吹雪の東北道を走らなきゃならない恐怖ってのはもう二度とイヤですわ〜。


岩原スキー場

 昭和6年にオープンし、戦後は一時進駐軍によって接収されていたりした、歴史と伝統のあるスキー場である。
 まだ初心者の頃に一度だけ滑ったことがあるが、その広大な一枚バーンには圧倒された。ただ斜度は無いに等しいので、空いてる時でないと中級者以上は楽しめないだろうなとも思った。
 上部に何とかいうギャップコースがあったけど、狭いし混んでるしで印象が良くなかったなあ。


尾瀬岩鞍スキーリゾート

 尾瀬エリア最強のスキー場。現在ではホワイトワールド尾瀬岩倉というらしい。
 古くから国体などに使われていた由緒正しいゲレンデだが、バブル期に大規模リニューアルを行って、なかなかに洗練されたアーバンリゾートとなった。
 雪質も良く、朝一でピシッとピステの入ったコースは最高!快適中斜面が多くて実に楽しめる。
 ちなみにここは最大斜度40のエキスパートコースがウリなのだが、あたしがそれよりも怖かったのは、ある日の朝カチンコチンのアイスバーンと化していたぶなの木コース。
 コケたらただそれだけで骨折しそうなツルツルのギャップを、それこそ這うようにして何とか下りきったのでした。


表万座スキー場

 規模は小さいながら熱心なファンの多いスキー場で、ここはオススメだよという友人に連れられて一回だけ滑ったことがあります。しかしあたし的にはあまり印象が良くありませんでした。
 あたしはクワッドリフトや大規模ゴンドラが当たり前というバブル期にスキーを始めたので、寒かったり待たされたりというのが大嫌い。しかるにここは、当時まだ長〜い遅〜い旧式のリフトに乗らなければならなかったのです。
 当日の天気が良くなかったこともあり、イヤだメンドい寒いつまらないと愚痴ばっかりのあたしに友人も白けてしまい、ちょっと後味の悪いスキー行になってしまったのでした。
 ちなみに食堂の旧式ぶりにも呆れましたぜ。色付きの割り箸をもらって順番を待つという弥生時代みたいな方式で、アーバンリゾートに慣れたあたしは失神しそうになったのでした。


GALA湯沢スキー場

 JR東日本がリゾート開発第1号として手がけ、ウルトラひつこいテレビCMを打ちまくって大きな話題を呼んだバブルの権化とも言うべきスキー場。
 いつも苗場で滑っていたあたし達には特に気になるスキー場でもなかったのだが、あるとき月夜野近くの茶店でお茶を飲んでいると、マスターが「GALA湯沢イイっすよ〜!こないだ行ったけど最高でしたよ!」と教えてくれた。
 ジモティが薦めるならそれなりに面白いのかもしれないと出かけてみたのだが、滑ってみての感想はと言うと、「なんじゃあこりゃあ!(ジーパン刑事)」なのであった。
 コースは短いわタルイわ人は多いわでとても楽しむどころじゃありません。専用の新幹線駅を作っちゃっただけあってアクセスは申し分ないのだろうが、それは忙しいサラリーマンとかが有難いだけであって、車で来てガンガン滑りたいあたし達には何の関係もなかでっしょ。つまり所詮はチョコッとスキー気分を味わえればよいという人向きのコンビニスキー場なのでした。マスターのウソつき。


川場スキー場

 当時としては世界随一という規模の立体駐車場を擁して90年に華々しくオープン、大きな話題をまいたバブリーなスキー場です。
 沼田インターチェンジから30分という驚くべき近さもウリで、このエリアの日帰りスキー場としては決定版とも言われました。
 あたしは一度滑ったことがあるだけですが、まだ新設だったこともあって施設は清潔でしたし、コースも規模は小さいながらまあまあ楽しめました。一本のクワッドで1キロ半の中斜面クルージングが出来るのが快適だったな。
 ここのペアリフトで何度も乗り合わせたいかにもジモティらしいオジサマが、とても親切にターンテクを教えてくださったのが嬉しかったです。


神立高原スキー場

 バブルの初期に湯沢地区へ敢然と参入し、瞬く間に大人気を博した革命児的スキー場。
 ここで始まった多くの新サービスはその後業界のスタンダードとなり、老舗というだけでふんぞり返っていた周辺の夜郎自大コースに否が応でも意識改革を迫った。イイぞ神立!
 などと持ち上げつつ、あたしはここのコースに良い印象がないのである。と言いますのもここはあたしのデビュースキー場でありまして、しかしあたしをここへ連れてきた先輩2人は自分たちが遊びたいだけであたしをかまう余裕など全くなく、初めて履いたスキーでコースのてっぺんへ置き去りにされたラスカルにしおや哀れなり。
 ポルックスというそのコースは初心者向けではあったけれど、ボーゲンもバーゲンも分からぬ素人に降りられるものでは無論ありません。日の落ちる頃にはあたしは「雪の着ぐるみを着て鼻のつぶれた不気味なネーチャン」と化していたのでした。
 いくらスキーが楽しくて仕方ない中毒期の人間であっても、彼らを頼りと付いてきた初心者を一顧だにしなかった無情な先輩達を、あたしは一生許すことはありません。
 パラレルが出来るようになってからもう一度滑りに行き、スーパーヘラクレスだのスーパーオリオンだのと頭の悪そうな名前の付いた上級者コースを全て制覇してリベンジは果たしたものの、生憎雪質が悪くて楽しめなかったためにスキー場自体には勝ったような気がしない。未だこのスキー場には「ヘッ、タコ」とか嘲笑われてる気がしてしまうのでした。


草津国際スキー場

 まだ草津・白根スキー場という名称だった頃に一度だけ行きました。その頃よく一緒に滑っていたK嬢のデビュースキー場だったということで、思い出深いからと連れて行かれたのです。
 しかしあたし的にはあまり印象が良くありませんでした。今はどうだか知りませんが、当時はリフトとかゴンドラ同士の連絡が悪く、最上部の本白根エリアまで行くのがしんどい感じでした。故にここのウリであるツアー性というのが今ひとつ快適に楽しめなかったのです。
 コース幅も広いとは言えませんし、すり鉢状になっている部分が多いため、初心者だったあたしにはツライものがありましたね。


田代・かぐら・みつまたスキー場

 あたしが何とかスキーを滑れるようになったのがここ。故にとても強い愛着がある。故郷みたいな気がしてしまうのである。
 苗場からちょっと奥に行った所にあるが、最初にロープウェーで山上のスキーエリアに上げられてしまうため、下界から一切隔絶された環境でスキーが楽しめる。これがまず素晴らしい。
 平日の早朝なんかシーンとしていて、凍て付き澄み切った空気の中を小鳥の囀りだけが渡ってくる。都会の喧噪から最も遠く離れた別世界。スキーは、リゾートはこうでなくっちゃ!!
 コースはエリア毎に特色があり、あたしが好きなのは田代とかぐら。
 田代は長い緩斜面が多く(だから初心者の頃、ここでターンを効率的に練習できた)、そこを高速ですっ飛ばす快感がやみつきになる。
 かぐらは手強い壁が多くハードなイメージだが、樹氷と深雪がスキーヤーを一瞬おとぎの国へ誘い込んでくれるようなロマンチックな一面もある。もう〜大好きです〜!
 あまりに好きなので1シーズンに5回も6回も行ったりしたが、それでもちっとも飽きてしまうようなことはなかった。
 朝田代を出発して、かぐらで昼食、みつまたでターンして、夕方4時近くに田代へ帰ってくる。身体はクタクタだけど胸は興奮でまだまだ熱い!まだまだ滑りたい!・・・ちょっとツアー感覚のあるあの夢のような楽しさを、またもう一度味わってみたいものです。


谷川岳天神平スキー場

 スキーを始めたばかりの頃というのは誰でもそうだけど、もう年中滑りたくて滑りたくて仕方がない。夏でも部屋の中でギアを着けて角付けの練習とか始めるバカまでいる。(自分だろ)
 要するに中毒症状に陥っちゃうわけだけど、そういうヤツらが11月に入って雪の便りを聞いちゃったりするともうイケマセン。積雪情報をチェックしまくり(ネットが一般的でない頃は、FAXによる情報送信サービスをよく利用しました)、付近で一番早く滑走化となるスキー場へ突撃するのだ。
 関東ですとその筆頭はまず谷川岳天神平スキー場であり、だからあたしも御多分に漏れず初滑りに出かけたものです。
 しかしここはあくまで「初滑りが出来る」ということだけが価値であり、コースは狭いわ、メチャ混んでるわ、初心者も大挙して来ている(自分だろ)ので危険極まりないわと全くろくでもない。買ったばかりのロシの板を初心者(自分だろ)にガリガリ踏まれて傷だらけにされたことは一生忘れねーからな。
 またここは施設が古くて汚くてホスピタリティが悪いことでも群を抜いており、肉が全く入っていないと有名なカレーを食べてみたら、見事に黒々としたルーだけだったことも忘れがたいイヤンな思い出です。まあ何つーか、ハイシーズンには逝って良し!みたいなスキー場ですな。


苗場スキー場

 あたしのホームゲレンデであり、最も多く滑ったスキー場がここである。というのも、父が勤めていた会社の厚生施設の1つ(単なるリゾートマンションだけど)が苗場の至近にあり、便利が良いし宿泊費もかからないという事情があったからだ。
 だけどそうした利便性だけに惹かれて苗場を滑っていたのかというと決してそうではない。周辺には他のスキー場も山ほどあるんだから、苗場がどうでも良いスキー場であればこだわる必要なんか何もないもんね。つまりあたしは苗場で滑ること自体が大好きだったのだ。
 一般に苗場というといつでもグチャグチャ混んでいて、ゲレンデはオツムの弱いガキ共の群れに埋め尽くされ、苗プリ内もまたそういうガキ共で昼夜を問わずあふれかえっており、廊下は立錐の余地もないわ便器はあちこち詰まりまくってるわ売店は避妊具を求める長蛇の列だわと、絶望的にただれきった腐れリゾートというイメージがある。
 それはその通りだけれど、そういうスノッブさ、猥雑さというのもまたリゾートの楽しさの一部だし、しかも苗場には滑って圧倒的に楽しいというハイレベルのゲレンデがある。つまり苗場で遊ぶ価値というのは、スキーリゾートというもののあらゆる魅力を、手軽に、効率よく、その上高密度に味わい尽くせるということなんじゃないかと、お姉さんはそう思うなあ。

←苗場頂上付近からプリンス方面を見る。

 写ってるロシの板はあたしのにゅ。

 さてゲレンデとして苗場を見ると、あたしの好きなのはやっぱり筍山山頂からのイッキダウンヒルだ。
 ゴンドラでまずヒュッテに上がり、すぐ下にあるペアリフトで山頂へ登る。晴れている日にはここからの眺望だけで頭クラクラ幸せ一杯、生きてて良かったと思わせてくれる。
 滑り出すときは大抵右回り。そこから大斜面→男子国体と繋いでゴンドラ前まで戻る。中斜面とガケが代わる代わるこれでもかとばかりに出現する面白さは、空いてさえいればまさに日本一の名コースだと思うデスよ。んも〜チュッチュッ!!スキスキ苗場!!
 ちなみに苗場のお楽しみはその帰途にもあり、月夜野インターへ向かう途中で猿ヶ京の温泉に浸かり、ホコホコに暖まったところでゆっくりお蕎麦をいただくというのがあたしたちの定番であった。まさに至福の時だったなあアレは。


ニセコスキー場

 あたしが初めてニセコを訪れたのは、スキーを始めて3年目くらいのことじゃなかったかと思う。
 当時あたしをいつも苗場に連れてってくれていたG氏がまずニセコへ通うようになり、とにかく素晴らしい面白いと絶賛なので、それじゃあたしもとせがんで同行させてもらうことになったのだ。
 ワクワクして出発日を待っていたのだが、しかし直前になって旅行の前途が危ぶまれるようなトラブルが立て続けに起こった。
 まずメンツの1人であったK嬢が骨折によって戦線を離脱。しかもあたしの確認ミスにより、予約した宿がアンヌプリの至近にある、所謂ハズレ宿であることが分かったのだ。
 スキーに詳しい方は御存知であろうが、ニセコは「ひらふ」「東山」「アンヌプリ」という3つのスキー場から成っていて、メインとなるのはひらふと東山エリア。つまりアンヌプリに宿があっては、他のエリアまで出かけて戻る手間が大きすぎるのだ。
 出発が迫っていたので今さらキャンセルも出来ず、あたし達は3人に減ったメンツで北海道へと発った。が、最初からケチが付いたスキー行のように思えてどうも心が浮き立たない。
 千歳空港からニセコまでのバス行程はずっと雪に降られ、窓外を白と鉛色に凍り付かせているその天候は、あたし達をなお一層気塞ぎにさせるようだった。

 その雰囲気が一変したのは、夕方近くにやっとに辿り着いたアンヌプリスキー場でのことだ。
 ペンションでスキー便を受け取り、夕飯前に取りあえず足慣らしをしておこうとゲレンデへ出たのだが、ちょうど雪が上がって薄日が差し始め、空気中の氷の粒をキラキラと背景から際立てている、その息を呑むような美しさ!
 直前まで降っていた雪は最高の新雪となって積もっており、何と腰まで埋まる状態となっても全く重さ・・・ていうか存在そのものを感知できないフワフワ感!まさに天使の羽毛である!
 あたしは体験したことのない夢のような感覚に、ガンダム第1話のアムロよろしく、「これが・・・北海道の・・・雪か!!・・・」などと呟いてしまったのでした。
 その後の3日間も天気はまず良好、コースも空いており、あたしたちは存分に北海道スキーを満喫した。ニセコを辞すときには出発時の沈んだ気分は完全に払拭され、もっと滑りたいなあ、また来たいなあ、という名残惜しさだけが胸を満たしていた。
 当然次の年もその次の年も勇み立ってニセコに出かけたのだが、しかし皮肉なことに、あの素晴らしい新雪には二度と再び出会うことはなかった。つまるところ最初のニセコ行は、そのイントロ以外は奇蹟のような好条件に恵まれていたのだ。
 だからあれは、ややくさっていたあたしたちを憐れんでニセコの神様が出血サービスしてくださったんじゃないかと思うけど、ともかくも北海道での処女スキーは、羊蹄山の素晴らしいロケーションと共に、過去最高の滑走体験としてあたしの胸に熱く焼き付いている。


パルコール嬬恋スキー場
 
 大好き。愛していたと言っても良い。そのわりに5回くらいしか行ったことないんだけど。
 あたしが滑っていた当時はまだオープンしたてだったということもあり、とにかく全ての施設がピカピカ清潔!しかも造りがゴージャス(もどき)!リゾートはこうでなくちゃと思わせる雰囲気でした。
 山容はおおらかで、緩〜中斜面が主体。つかギャップは無いに等しい。しかしコースの繋がりが非常に滑らかで、大きなパラレルでグイグイ滑っていける。故にものすごくスピードが出せるのだ。
 ゴンドラ一気(頂上から麓までのストップ無し滑降・あたしたち用語)のロングクルージング感は絶品!頭の中が真っ白になる爽快さです。
 途中林の中をショートカットするエクストリームもどきも楽しい。上信越道沿いでお気楽スキーをやるならここで決まりでしょう。
 現在はお隣のバラギスキー場と合併してさらに大きくなっているらしい。また滑りたいな〜。


丸沼高原スキー場

 あたしがハマりまくっているのを見て、弟が「オレもスキーを始めてみようかな」などと言いだしたことがあった。
 あたしは運転が大嫌いなので、こりゃあ良い運転手が出来たワイと彼の車で丸沼へ出かけた。そして彼は死んだ・・・。
 あたしが中斜面でターンの荷重チェックに明け暮れている間、ほったらかされた彼はスキー場の片隅で冷凍人間になっていたらしい。
 まあ何つーの、スキーが楽しくて仕方ない中毒期の人間にとって、オマケで付いてきた初心者なんか眼中になくて当然だよな。
 その後弟は二度とゲレンデに立つことはなかったが、今どきの若者は全く持って根性というものが無いわねえ。


三国スキー場

 あたしは苗場が好きで好きで愛しまくっちゃってるけれど、同じようなスキーヤーはそれこそ星の数ほどいるわけで、だから当然苗場というのはいつも混んでいる。
 詰めかけたスキーヤーで土日はまさにイモを洗うよう。平日だってイモを洗うとまではいかないけれどもイモを煮っ転がす程度にはジョワジョワ混んでいる。
 そんな超人気スキー場から混雑時に退避する場所として、この三国はかつて機能していた。苗場から車で数分と近いのに別世界のように空いているし、リフト券も共通だったからである。
 午前の空いてる時間は苗場で遊び、午後からは三国に行ってノンビリ滑るという利用の仕方をする人も多かった。
 コースは小規模ながら中斜面が充実しており、また巧みなレイアウトによって長距離を効率よく滑れるようになっていた。片斜面がやや多いことと、リフトが古くて遅いことを勘案しても、十分以上に楽しめるスキー場だったのだ。
 実際ここで何度も快適に遊んだあたしにとって、三国は何か、人に知られたくない秘密基地のような、コッソリ愛でていたい空間であった。
 しかしコクドにとって三国の運営はややお荷物ででもあったのか、その後一時リフト券が苗場と切り離されたり、次第に閉鎖されてる日が多くなったり(雪はあるのに)と継子扱いが続き、その状況は今でもあまり変わらないようだ。三国イイのにな〜。
 ネットで見たらあたしの好きだったコースもいくつかが廃止されちゃったようで、滑っても昔日の痛快さはもう味わえないのかもしれない。
 まあ経営母体たるコクド自体が今日日存亡の危機なんだから、こういうオマケDVDのようなスキー場が割食っちゃうのも無理からぬところですか。


水上宝台樹スキー場

 水上地区の中では、ゲレンデ、設備とも最も充実したスキー場である。
 あたしは一度滑っただけだけど、雪質は良かったし、確か架かったばかりだったクワッドも快適だった。
 それでもその後出かけなかったのは、泊まるのが大抵苗場周辺だったからである。水上で滑って苗場に泊まるには、一度月夜野方面へ戻らないとイケナイ。それはかったるいし。
 それと奥利根より向こうは道路が凍り付いていることが多く、何か進むのを躊躇する気分にさせられたってこともあるかなあ。


湯沢高原スキー場

 湯沢の駅からすぐに滑り込めるようになっているスキー場。週末に新幹線で来てザッと滑って帰るという利用が出来る。東京から3時間で行って帰ってこれるからだ。
 あたしが滑ったのは一度だけで、今は布場ゲレンデと呼ばれている下部の初心者コースは、その頃まだ独立した布場というスキー場だった。
 中級者以上が滑って面白いのは上部の高原コースだけだろうが、これも規模からして長く遊ぶことは出来ないなあと思いました。


湯沢中里スキー場

 確か一度だけ滑ったことがある。だけどどんなゲレンデだったのかは全く思い出せない。要するにその程度のスキー場だったのだろう。知らないけど。


→電波館のトップへ戻る