番外記事

キミは惑星シャルバートを見たか?(2)

 
 
 「宇宙戦艦ヤマト3」のダイジェスト紙芝居、第2弾にして完結編です。

 ヤマトがガルマンガミラス軍によって拿捕されてしまったところから、つづきの始まり始まり〜♪

 (承前)

 こと此処にいたって、デスラーはようやく、自軍の前線部隊がヤマトと交戦していたことを報されます。

 部下の独断専行に激昂し、即座に戦闘中止を下命するデスラー。

 何とも頼もしいキャラになりました。

 デスラーは古代艦長に不手際を詫び、ガルマンガミラス本星にヤマトを招待しました。

 親しく歓談するヤマトクルーとデスラー。

 初代ヤマトのあの苦難の旅は、一体何だったのでしょうか。

 ガルマン本星では盛大な軍事パレードも催されました。

 そのとてつもない軍事力に息を呑むヤマト一同。

 ちなみにガルマン軍の兵器には、昔のガミラス軍兵器の発展型が多数見られ、ファンサービスの一環となっています。

 古代クンはデスラーに、「ガルマンの科学を、武力ではなく平和のために用いるべきだ。武力にのみ頼って物事を解決しようとするのは危険だ」と説きます。

 なるほどそうかも知れませんが、散々武力のみで物事を解決してきた古代クンにそんなこと言われてもなァ・・・・

 すっかりイイ人のデスラーは、古代クンの諫言にも気を悪くしたりはせず、移民先として有望な惑星の情報を教えてくれました。

 喜び勇んでその星へ向かうヤマト御一行。

 到着した惑星ファンタムは素晴らしい自然環境を有していました。

 さっそく地上に降りて調査をするヤマトクルーの前に、死んだはずの沖田艦長やスターシャらの幻影が現れます!

 仰天する一同!

 何とこの惑星は、訪問者の望む幻影を見せておもてなしをする、巨大な生命体だったのです!

 しかし正体がバレるや、巨大な触手を繰り出して人々を襲う怪獣に早変わり!

 宇宙の神秘・・・と言うよりも、何だか整形美人のキャバ嬢みたいな星だなァ。

 ところでこの星には、汎銀河宗教の次期ご本尊となるルダ王女がかくまわれていました。

 演じるはララァ・スンこと藩恵子氏。

 ヤマトシリーズの常連さんですが、独特の甘い鼻声は、何を演らせてもさすがの色っぽさ。

 ルダ王女を保護したヤマトは、彼女を故郷のシャルバート星へ送り届けました。

 ヤマトの宅急便(す、スイマセン、電波が書けって・・・)

 ちなみにこの星はかつて、銀河中に覇を唱えた強大な軍事惑星だったのですが、今では全ての軍備を放棄して平和に暮らしています。

 シャルバート星の素晴らしい環境を目にした土門クンは、興奮して古代艦長に進言します。

 「この星を地球人の移民先として占領しましょう!軍備を持たない連中が相手だから容易いことです!」

 い、一体何を言い出すんですか、この小僧は!!

 「恥ずかしいが、実はオレもそうすることを考えていた」と、思わぬ本音を吐露する古代艦長。

 考えてたんかい!(水平ツッコミ)

 宇宙の愛がどうしたこうしたと言っていた人が・・・

 全く持って、地球人というのは信用ならないゴロツキ星人ですね。

 

 シャルバート星の存在を知ったボラー陣営は、自軍の傘下に収めようと侵略を開始しました。

 しかしシャルバート星人たちは、無抵抗のままにただただ殺されていくばかり・・・・

 恒久平和実現のため、戦争行為は一切放棄したのだと語る、ムー帝国、もといシャルバート星の長老さん。

 つまりこの星は、戦後の日本のメタファーのようです。

 それにしたってマヌケすぎますが。

 無抵抗主義などナンセンスだ、自分を守るためには武器を取って戦うべきだと、長老に迫る古代艦長。

 あ、あの〜、こないだデスラーに対してほざいた理想主義は何処へ行っちゃったんデスカ?

 ヤマトとガルマン軍の奮戦によって、ボラー軍はシャルバート星から追い払われました。

 長老はそのお礼にと、「ハイドロ・コスモジェン砲」なるモノを譲ってくれました。

 これは恒星の核融合反応を制御できるテクノロジーだそうで、つまり地球の太陽を元に戻すことが出来るのです(逆に言うと、恐るべき破壊兵器にもなります)。

 シャルバート星には、この他にも無数の超便利グッズが秘匿されているようで、まるでドラエモンみたいな星であります。

 (何と、かつて暗黒星団帝国が用いたハイペロン爆弾までもを保有!こえーよシャルバート!)

 急ぎ太陽系へと帰還し、太陽の膨張を止めようとするヤマト。

 しかしそこに、ベムラーゼ自らが座乗する巨大な要塞艦が出現しました!!

 ボラーの要塞艦は、ブラックホール砲(マイクロブラックホールを射出する)というバカ兵器を撃ちまくって大暴れ!

 ヤマトの応援に駆け付けたガルマン艦隊も、あわや全滅の危機に!

 その時、巨大なルダ王女の幻影が要塞艦の前に現れました!

 「ここに体当たりしなさい!」とでも言うように差し招かれ、ルダにホの字(絶滅語)の揚羽クンは、コスモタイガーに乗って、フラフラと要塞艦に特攻、自爆してしまいます。

 恐るべし宇宙の魔女、ルダ!

 一方土門クンは、故障した装置を修理しようと甲板に出たところを、ボラー軍の戦闘機に呆気なく撃ち殺されてしまいます。

 他人様の星を侵略しましょうなどと吹いた天罰テキメンでしょうか。

 「バカは死ななきゃ治らない」を地でいく可哀想なキャラでありました。

 (オマケ)

 ←宇宙一カッコワルイ、土門クンのKOシーン。

 お前わ曙か!

 新キャラ2人がくたばったのを見て、これまで出番の少なかった本来の主役2人がここぞとばかりに発奮!

 「雪、オレに力を貸してくれ!」

 「古代クンっ!」

 愛し合う2人で力を合わせ、打てよ!石破ラブラブ天驚拳!!な〜のだ!

 戦いはヤマト・ガルマン連合軍の勝利に終わりました。

 そこにルダが再び現れ、「揚羽さんの魂は私が連れて行きます」などとウルトラの母みたいなことを言い出します。

 好きな男の魂をガメるために、特攻を煽ったんじゃねーのか藩恵子。

 さすがにキマリが悪いのか、「平和のためには決して戦わないという覚悟が必要ですよ」などと取って付けたような御題目をほざき、そそくさと去るルダ。

 「分かりました、努力します」と古代艦長は応じますが、そのすぐ翌々年にはディンギル帝国と大戦争をやらかすんですから恐ろしい。

 言うことやること全てその場しのぎ。ウソをついても全く恥じない。部下を見殺しにして知らんぷり。

 どうも古代クンには、艦長よりも政治家の方が向いているようで・・・

 「ヤマト3」ダイジェスト紙芝居、お楽しみいただけましたでしょうか?

 全編を見終えてから、改めてその文芸を俯瞰しますに、「ヤマト3」は、戦後の国際政治におけるリアリズムとアイデアリズムのせめぎ合いを戯画として表現しようとした意欲作だったことが分かります。

 明らかに冷戦下の米ソを象徴している「ガルマンガミラス」、「ボラー」という二大超大国。

 その狭間にあって、軍事的には無力に等しいヤマト(地球=日本)は、自らの生存、そして宇宙平和を如何に希求していくべきなのか(あるいは、あえてそれらに無頓着でいるのが良いのか)と問いかけるドラマは、確かにヤマトシリーズとしては新機軸であったと言えましょう。

 問題は、そんなモノを「ヤマト」で見せられても面白くも何ともないということで、エンタテイメントとしての本作は明らかに落第です。

 ガミラスや彗星帝国といった圧倒的な強敵が攻め込んでくるワケではないので、ヤマトが悪いヤツらを次々粉砕して進むというカタルシスを欠いていますし、またヤマトはいつでも好きなときに地球へ帰還できますから、旅路の緊張感というものもまるでありません。

 結果、物語の不合理さやチープさのみが際立つこととなってしまい、「ショボくてヘンテコな話だなあ」という印象しか残らない凡作に終わってしまった感があるのは残念です。

 もしも当初の予定通り、本作が4クール分の長尺として完成していれば、それらの欠点は克服され・・・なかったどころか、さらにダラダラとローテンションな作品になっていただろうなあ(^^)

 不人気故の打ち切りでコンパクトに終了したことは、本作にとってむしろ僥倖だったのかも知れません。


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