No.81

このアニメはこう見やがれってんだ!(39)

 
 

マクロスF(フロンティア)

 
 うーん、最初はそこそこ面白かったんですけどねえ・・・・・
 キャラやストーリーが丸出ダメ夫なのはマクロスの伝統だけれど、それにしても、もつれ方がアホすぎてサッパリ盛り上がらないラブコメパートとか、勿体ぶってるだけでタルさバツグンの謎解きパートとかの印象が悪すぎて、中盤辺りから見るのがシンドくなってしまいましたわ。



 それでも戦闘シーンだけで魅せてくれれば文句は無いのだが、まずまずカコイイのは最初の遠征戦だけで(モンスターの砲撃シーンもあるしね)、あとは毎度変わり映えのしないルーチンぽい絵がダラダラ続くばかりなのにガカーリ。



 CG作画だから、スゴイ数のバルキリーがジョワジョワ高速で動くんだけど、ために却ってメリハリを欠いてしまった感があり、それがひいては、作り手の力こぶがシーンの何処に込められているのかをも見えにくくしている。
 
ポルノに例えれば、ここを見て!ここで興奮してよ!って、核となる濡れ場が存在しないような。アカンでしょそんなこっちゃ。



 最初の無印マクロスは、作品全体のパッケージを見ればお粗末極まりない仕上がりだったけれど、それぞれの作り手の「本当に描きたいモノを描いたぜ!」という情念が画面のそちこちで炸裂しており、それが視聴者を刮目させる迫力となっていた。
 対してこの「F」には、超高めで安定した作画や美術のグレード、萌え要素盛り込みの手際の良さ、小洒落たアイキャッチ等々、無印に無いモノが何でも揃っている一方で、しかしシリーズのファンが真に求めているモノ・・・・目に焼き付いて離れない、トンデモなカタルシスに満ちた名コンバットシーンや、作り手の怨念が表出したような、だがそれ故にヲタ共の共感を呼んだ、キショイ味の恋愛描写・・・・だけが、そこに無いという気がする。



 監督の河森氏が、自身の仕事の孕むそうした危殆に無自覚ではないことは、完璧な美貌と歌唱力で武装しながら、ランカのピュアな魅力に圧倒されてゆくばかりのシェリルのドラマを見れば良く分かる。
 でありながら「F」という作品自体の出来が、その危殆をまさに体現して終わってしまっていることにはトホホと言うよりない。



 無印マクロスと同じモノを作れなどとは無論言わないし、そんなことはナンセンスだが、しかし無印が、何ゆえに当時、あれほどの歓喜をもってアニヲタたちに迎えられたのか、河森氏やサテライトのスタッフには、その原点をさらにシビアに問い直すことを忘れて欲しくありません。



 追記・戦闘パートが今一つイケてないのは、バジュラという敵が、メカニックではなくて生物だってことも一因かと思う。
 マクロスの戦闘シーンのカタルシスって、バルキリーが敵機とバキバキ取っ組み合って穴だらけにしてスゲェ!カッコイイ!ってとこにあるのに、つまりハイテクメカ同士のドッグファイト!ってのがキモなのに、カイジュー退治じゃ燃えないよォ。
 またバジュラそのものも、ビジュアルはレギオンのまんまパクリだし、見て面白い特殊能力を持っているわけでもなし、キャラとしていかにも弱すぎる。
 叩けば叩くほど強くなるという設定も、単に邪魔くさいだけだった気がするなあ。



 追記2・
また始まりやがったと言われそうなのであまり言いたくないけど、でも言わないと精神衛生に良くないから言うけど、ランカむかつく!
 うま〜くツボ押さえた健気ブリッコで男子にモテちゃって、どころか誰からも愛されちゃってドヘタくそな歌も売れちゃって銀河のアイドルだってやんの。そうですか幸せですか良かったですね。
 こういうヤツって現実にも結構いて、あたしが一生懸命人に親切にしたりクラス委員引き受けたりして自分のキャラ作ってるのに、ソイツは何の苦労もなく、転校してきていきなり皆の気を惹いたりチヤホヤされたりする。
 ねェK・Mちゃん、真っ当な手順を踏まないヤツは、何処へ行ったって同性からはハブられんだよ?



 追記3・だけどロリクランだけは可愛かったと思います。豊口の姉様は何を演らせても上手いなあ。
 
 

魔法少女リリカルなのはA's(エース)

 
 前作から半年後のオハナシという設定で作られたシリーズ二作目。
 監督さんが交代になっていて、そのためかどうかは知らないけれど、前作のグダグダな印象を吹っ飛ばす痛快な仕上がり!ダンチに面白いです。



 
成功の理由は、「見せたいモノがハッキリしている」という一点に尽きよう。



 魔法文明遺産がどうの、時空管理局がどうのと、スケールだけはやたらバカでかい世界を俯瞰で描いて、しかしそれが面白くも何ともなかった前作に対し、この「A's」ではカメラ位置をグッとキャラ側に寄せ、あくまで魔法戦士同士の相克をメインの見せ場としてフレームに捉え続ける。その思い切りが作品を、引き締まったスタイリッシュな印象に見せている。



 また、新たな強敵によってヒロインらが一敗地にまみれるというタメパートから、逆襲に転じて敵を圧倒するカタルシスパートへの転換も、特訓をして身体能力を上げたりとかいうベタなのじゃなくて、彼女たちそれぞれの武装が、自ら望んで強化改造を受けることによって成されるという、ちょっとしたヒネリが面白い。
 それらの武装が、実は自立思考の出来る戦闘用デバイスであるという設定が、一作目よりもずっと効果的にドラマ内で活かされているわけだ。



 そうした演出が彼女らを、単に「自慢の獲物を引っさげた戦士」ではなくて、「強い信頼と絆で結ばれた龍使いと龍」のようなイメージに見せており、それが戦闘シーンに独自の躍動感を与えてもいる。



 キャラアニメなのに、相変わらず肝心のキャラ自体がつまらないとか、またラスボスたるリインフォースが最終盤でいきなり出てくるため、彼女との最終決戦や別離(最終回)がイマイチ盛り上がらないとか、残念な点も多々あるけれど、コケて当たり前のユルい続編や第2期ばかりがゴロゴロするアニメ界にあって、少しでも前作より面白いモノを!というスタッフの誠意とガッツには、心より敬意を表したい。



 追記・新キャラ、はやてちゃんとヴィータちゃんは、とっても可愛いし、キャラ立てもそこそこに丁寧で良かったと思います。
 逆に言うとそれが、本来のヒロインであるなのはちゃんやフェイトちゃんの大味なキャラ性を際立たせてしまった恨みはあるけれど。


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