No.83

このアニメはこう見やがれってんだ!(41)

 
 

ベクシル 2077 日本鎖国

 
 何か半島の人が書いたプラカードみたいな垢抜けないタイトルだが、内容のあまりのロクでもなさに圧倒されてそれどころじゃない超衝撃作。
 どのくらいロクでもないって、あのエクスマキナが大傑作に思えてしまうくらいのド最低ぶりなのだ。



 演出がどうしたCGがどうしたとか言う遙か以前に、そもそもこんな、今日日厨でも書かないようなゴミクズ脚本に予算が付いて絵が作られて御丁寧に世界公開までされてしまうというシステムの脳天気ぶりに暗然たる気分にさせられる。
 どうして「こんなモノは作るに値しない」というチェックが途中で働かないのか。これが車や電化製品ならリコールバキバキかかって100回くらい会社つぶれるじぇ。



 
全く持ってタダでもいらないキング・オブ・地雷。
 
日本鎖国も日本民族絶滅も結構だが、その前にまずお前が絶滅せい曽利文彦。
 
 

奥様は魔法少女

 
 文芸的には完全な真空作品であり、つまり意味のあるストーリーだのドラマだのは内包していないが、ではだから製作者の壮図もまるで分からないのかと言えば、それだけはハッキリとそこに表明されているのがむしろ困りモノ。



 それはその壮図というのが、「おねティ」と全く同じ、「喜久子姉様にエチぃ演技をさせたり恥ずかしいことを言わせたりして、それをヲチしながらハァハァしましょう!」というヤツだからあって、そんな痴漢同好会のオフ告知みたいなモノ見せられて愉快なのは一部のキモヲタ童貞ブタブサオだけであるから、アニメ作品として評価するなぞはそもそも不能である。


 
 
なのでレビューと言うよりも、あたしの気持ちみたいなモノを素朴に書かせていただければ、「(ちせちゃん兵器モード風に)アンタたち業界の人は、みんなして喜久子姉様をイジって興奮してる変態でしょや。良いんかい?あたし、殺すよ?」みたいな。
 エチぃ要素がサービスではなくてテーマそのものなのであれば、最初からちゃんとポルノを作っておけばイイのにね。



 追記・そんな作品でも、ビジュアルさえ良ければ、姉様のボイス付き環境アニメとして消費出来たか知れないが、中盤から作画が大きく崩れてリカバリーされなかったからそれも不能ナリ。
 中身が腐ってる上に袋まで破けてる最悪スナック菓子。回収せいそんなモン。



 追記2・監督の錦織博も、「忘却の旋律」のような快作をものするかと思えば、一方でこんなゴミクズも作っちゃうんだからワケが分からない。
 要するに、自分で原作まで書けちゃうような器じゃないのかな。同じく原作に関わった「ガドガード」もカスだったし。



 追記3・清水ロリロリ愛が珍しくツンケンした小悪魔的少女を演じているが、正直あまり似合っていない。
 しかしその不器用さは彼女の美点(個性がハッキリしている)でもあるのだから、そう無理をせずに、カワイイだけの人畜無害キャラをとことんロリロリ演じていただきたい。

ほしのこえ

 今をときめく若手映像作家・新海誠氏が個人で創り上げたアニメ映画として、そのクォリティの高さから、大きな驚きと好評を持って迎えられた話題作。
 ・・・を、ホントに何を今さらながらBS放送で見てみたですよ。



 
内容的には、「20分で分かる『トップをねらえ!』」という体裁を装いつつ、真には、男女の間にそもそも横たわっている断絶を、宇宙という無辺の空間に象徴させて描き、それを嘆じるのが眼目だ。
 しかしこの尺でソレをやりきるのはやっぱりちょっと無理があり、結果、ラストの感傷だけがポツリとあって、そこへ導くキチンとした装置がないという、舌足らずな仕上がりになってしまっている。
 そういう作劇方だってあるから、あたしは問題だとは感じないが、真っ当でオーソドックスな物語構成の好きな向きからは、公開当時批判も多かっただろうと想像する。



 また、ここをこうすればもっとイカスのに、もっと分かりやすいのにという、演出上のウ〜ンな部分がやたらと多いことも、本作を、何かもどかしい、今ひとつ冴えない印象に見せている一因だろう。



 そうした瑕疵(と言うべきなのかは置くとして)は、仮に本作を多人数でディスカッションしながら制作していけば、恐らくは容易に改善できたはずのモノばかりだ。
 しかしそれをすれば、「ほしのこえ」の最大の魅力である、個人が独力で何かを表現しようとするピュアな意気が、作品から強く感じ取れなくなってしまうこともまた確かであろう。
 そう考えれば本作は、その欠点もまた味わいとして、ありのままに楽しむことが最善に違いない。



 何よりも、これから創作活動に携わろうとする若者たちに、本作はどれだけ大きな希望や勇気を抱かせたことだろう。
 それも含めて評価すれば、「ほしのこえ」はやはりとてつもなく偉大な仕事だ。誰にでも出来ることなどでは決してない。
 
新海氏には心からの尊敬と拍手を、また一つ光り輝く才能を得た新世紀のアニメファンにはお祝いの言葉を、それぞれに贈りたい。


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