No.20

宇宙猿人ゴリ日記・2


 
宇宙猿人ゴリレビュー・その3


 ゴリだが、米金センセがどっかで書いていたとおり、ネズバートン編あたりから見れなくもない内容になってきた。
 それまでは、何というか
「フィルムに絵が写っていれば何でもかまわん!」みたいな感じだったのだが、ようやく制作陣が落ち着いてきた感じだ。



 そのネズバートン、前半はなかなかいい感じだ。一峰センセのマンガにはもちろん及ばないが、スプラッタでサスペンスフルな導入部は結構イケてると思う。
「用心棒」のパロディらしいものが入ってたりして楽しいよ。しかし問題は後半だ。



 そも「怪獣列車を阻止しろ!」というタイトルからして分からない。どこが「怪獣列車」なのだ?とにかくシナリオが支離滅裂なんだよなあ。
 どうしてラーは、東京まで行くのにわざわざSLを乗っ取らないといけないのか。しかも何時乗ったり降りたりしてるのかてんで分かんないし。
 スペクトルマンも、ネズバートンに対して
 「さあ来い!」
 と見栄を切り、いよいよクライマックスかと思わせておきながら、途端にめまいがしてブッ倒れる。
 「だ、だめだ。」
 などと言いながら
這って逃げるヒーロー。おいおい、ハラハラするよりは情けなくなるぞ。



 大平さんは大平さんで、蒲生の袖についた草を見て、
 「ほほうこれは珍しい。さっきスペクトルマンが闘った○○トンネルの側にしか生えていない草だよ。」
 などという。
何者だおめーは。
 とにかくシナリオライターがその場その場の思いつきで脚本を書き、しかも一度も推敲をしていないって印象なんだよなあ。



 特撮も壮絶ですしね。
 見ていてすごく違和感があるのはどうしてだろうと思っていたが、
合成がまったく使用されていないからだと気がついた。だから役者と怪獣が同一フレーム内でからむというシーンがまったく無い。
 何でPプロは合成を使わないんだろう。単に技術がないのかな。



 それとネズバートンの着ぐるみに火が燃え移り、スペクトルマン(の役者さん)があわててそれを叩き消すという噂のシーンもようやく見た。笑い死ぬかと思ったぞ。
 いや、火を消すことは構わない。そういう事故は起きるだろうし、そのとき人として役者仲間を救うのは当然だ。
 問題はNGも出さずにカメラを回し続け、なおかつ
それをそのまま放映してしまうというスタッフの厚顔ぶりだ。Pプロにはリテークとか編集とかいう言葉は無いのだろうか。



 見ていて思うのは、
 
「円谷って熱意と良心にあふれた超技術集団だったんだなあ。」
 ということ。帰マンなんかゴリに比べるとほとんど劇場超大作だぞ。
 しかし本作が当時かなりの人気作品だったことを思うと、一筋の涙が頬を伝う。子供にはクリエイターの良心なんて全然通じないんだなあ。

 

宇宙猿人ゴリレビュー・その4


 ダストマンの前編を見た。なんつーかもう。



 米金センセから聞いてはいたが、ダストマン誕生のプロセスってヒドイなー。
 実験の失敗だとかで誕生するならまだいい(よかないけど)。しかしラーのミス、というよりは
「イタズラ」で誕生しちゃうっつーのはないんじゃないのか。



 しかもその際のラーのリアクションがすさまじい。
 
「あっ、間違えた。」
 である。
 「うぅーむ、失敗だ!」
 とか、
 「い、いかん、改造装置を止めなければ!」
 ではなくて、
 「あっ、間違えた。」
 だ。


 
 あのなあ、分別ゴミの回収日を勘違いしていた程度のミスじゃないんだぞ。
 「あっ、間違えた。」
 って、人間の命ってそんなもんじゃないと思うんだがなあ。



 ダストマンにされたダンプの運転手やその家族もわけが分からない。
 ダンプで出かける亭主に向かって、
 「仕事がんばっておいでよー。」
 と送り出しておきながら、その帰りが遅いとなるや、
 「きっと仕事が見つからなくて
ヤケ酒飲んでんだよ。」
 と納得してしまう女房とガキ。
 おいおい、親父さんは車で仕事に出かけたんじゃないのか?それともダンプの運ちゃんってのは、
 「何か運ばせてくれませんかあ?」
 なんつって毎日自分で営業して回るのか?タクシーじゃあるまいし、流しの搬送業なんて聞いたことないぞ。



 しかもこのガキ、眼前に出現したダストマンを見て、
 「もしかして、あれはオレの父ちゃんかもしれない。だって、
オレの父ちゃんにソックリな目をしていたもの!」
 だってやんの。



 お前の父ちゃんってのは、あんな狂気をはらんだ、ギンギラギンに電飾の入った目をしているのか?父ちゃんってのは気が狂った黄疸患者か?



 ガキがガキなら父ちゃんも父ちゃんで、怪物にされたというのに夢の島でゴミを喰らって大はしゃぎ。
 雲つくような巨大モンスターになるや、その偉容を誇示するかのようにワッハッハーと天を仰ぐ。
 ペーソスのかけらもない演出にさすがにマズイと思ったのか、駆け付けたスペクトルマンに対しては、一転してオロオロと自分の窮状を訴えてみせる。
 「やめてくれェー、オレは怪獣じゃないんだ。人間なんだよォ〜!」
 
いねェよ、そんな人間。

宇宙猿人ゴリレビュー・その5


 それにしても、公害Gメンって、何のためにいるんだあれ。
 怪事件の現場に駆け付けて何やら調査をしてはいるが、別にそこから何らかの結論を導き出すでもない。
 怪獣退治に力をふるうでもなく、言ってみれば
野次馬以外の何者でもない。遠藤理恵なんか、ラーにさらわれるために毎回出てくるみたいなもんだ。



 おそらく環境庁(当時あったか?)あたりが、天下りのためにでっち上げた公益法人なんだろうなあ。別に目標やノルマがあるわけじゃないから毎日遊んでるわけだ。
 ほんで年度末には、どうでもいい薄っぺらな、「公害事件白書」とか何とかいう冊子を出してお茶を濁す。いいなあ公害Gメン。
 まあ世の中には「年に数曲、子供のための唱歌を作る」ということだけのために存在する特殊法人もあるんだからまだマシか、Gメン。



 劇中大平さんが、はしなくも公害Gメンの実態を吐露してしまうシーンが笑える。
 「私は悔しい。スペクトルマンのあの活躍に比べ、我々公害Gメンはいったい何をしたというのか!」
 
答え・何もしていません。



 追記・Gメンといえば、蒲生がネビュラ71の指令を聞いている間、それが聞こえない周りの隊員が、身体を突っ張って静止画のイメージを出そうとしてるのが、相当間抜けというかシュールでした。(手がブルブル震えていたりする。)
 普通はネガポジ反転画面とかにして雰囲気を出すシーンじゃないですかねぇ?
 これがPプロ風
手作りの味ってやつですかねぇ。テイスト・オブ・手作りですかぁ?


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