No.22

宇宙猿人ゴリ日記・3

宇宙猿人ゴリレビュー・その6

 
 ネオヘドロン編を見た。
 米金センセはまあまあの水準作と言っていたが、あたしはやっぱ頭痛かった。まあ合成が一瞬出てきて驚いたけど。
 しかしタイトルは「ヘドロン大逆襲」だし、劇中でも「ヘドロン」という呼称しか出てこない。「ネオヘドロン」ってオフィシャルなネーミングじゃないのかな?



 それにしても蒲生丈治、今回は「オレは暴れGメン!」と副題をつけたくなる程の大活躍!
 なにしろ置いてある車を盗むわ置いてあるバイクを盗むわ置いてある飛行機を盗むわと、まさにやりたい放題!
お前はフランソワーズ・アルヌールの兄ちゃんか!


 
 おまけにバイクは道に乗り捨てるわ飛行機は空に(!)乗り捨てるわと田舎の産廃業者よろしく暴れ回った挙げ句、わき見運転で車を大破させて
 「畜生!」
 と毒づいてみせる。お前が畜生じゃ!



 このわんぱく蒲生君、傷だらけになって自宅へとって返すや、おもむろにババーンとピアノをかきならし始めたりするのだが、別に
発狂したわけではなくて(元々しているけど)、どうやらこのピアノは、サイボーグである彼の傷をいやしたりエネルギーを補充したりする、ネビュラの科学装置らしい。
 だけど説明がまったく無いから、見ていて何だか不安になってくるんですよねえ。ピープロの作品には、
視聴者のイマジネーションによる補完が不可欠です。



 その他200メートルくらいあるスペクトルマンとか、本気で女優をはり倒す有籐隊員とかツッコミどころは色々あるが、圧巻は何と言っても、ヘドロンに寄生されてウハウハとノリまくる老博士であろう!ハッキリ言って恐い!



 見ればお孫さんもいようかというイイ歳なのに、お立ち台のパーギャルみたいにグルグルと自転し、頭のてっぺんから「泡立ち豊かに洗浄力2倍!」のスーパーザブよろしくブクブクとあぶくを噴いてヘドロンに変身してゆく!
 泡だらけでニタニタと嬌笑する、そのものすごい形相!
 
「わしはヘドロンじゃー、ヘドロンなのじゃー、ウヒーッヒッヒッヒー!」
 おっさんおっさん、分かったから、せめてあぶくを拭けよ…。

宇宙猿人ゴリレビュー・その7


 モグネチュードン編を見た。
 米金センセが「特撮がスゴイ。」とおっしゃっていたので楽しみにしていたのだが、あたしの感想としては
 「うーん、センセがスゴイというならねェ…。」
 という感じだった。ただこれまでよりははるかにツッコミ所に欠ける力作ではあるけど。



 特撮っていうのは、言うまでもないけど、合成だとかスーツメーションだとかの個別のテクニックを指すのではなくて、実際には無い映像を視聴者に納得させる
技法の総体だ。
 だから出来上がった映像に説得力があれば、その制作過程はどうでもいい。
 分かりやすい例としては、ビルのミニチュアが、画面に映らない部分は全然作っていなくてもかまわないわけだ。



 しかし「見えない部分を全然作っていない」ことが簡単に見透かされてしまえるようでは、視聴者はしらけてしまう。
 スペクトルマンは、すべてのカットでそんな余裕のなさがありありとしており、見ていて何となく落ち着かないのだ。



 端的に言うと、とにかくロングのカットがない!
 常にフレーム内ぎちぎちに役者さんが押し込まれて演技をしており、そのフレームの外にはなーんにもないのが一目瞭然である。
 これが円谷だと、必ずロングとアップが効果的に織りまぜられて臨場感を出すんだけどなあ。
 ありもしない世界を描かなければならない特撮ドラマにとって、これらテクニックとイマジネーションと熱意の欠如は致命的だ。



 改めて考えてみると、スペクトルマンに比べたら、あの
シルバー仮面だって、非常に重厚なドラマ(笑)に支えられた、素晴らしい映像の魅力にあふれる快作だなあ。
 バカにしててゴメンよ、シルバー。



 さてそれにしてもあのラストシーンにはたまげたな。
 街で通行人にインタビューをしながら、人々の危機管理に対する無関心、無責任をえぐり出していく蒲生丈治!(ウソ)
社会派だぞ、スペクトルマン!(ウソだってば)
 それとネビュラ71、モグネチュードンの出現以前まで時間を戻すって、どういう解決法なんだそのオチは!どうせならゴリの出現以前まで戻さんかアホンダラ!
 なんだかスーパーマンとかガオガイガーのラストシーンみたいで頭がグラグラしたぞ。そうか、あれらってスペクトルマンのパロディだったのか。(大ウソ)

宇宙猿人ゴリレビュー・その8


 サンダーゲイ編を見た。いやー、世の中にこんなにつまらない番組があってイイのだろうか?



 脚本の支離滅裂ぶりは、もはやどこをどう突っ込んでいいのか分からん!あたしはくたびれてしまったぞ!そもそも1時間もかけてやるエピソードじゃないんだよなあこれ…ってどのエピソードも同じだけど。



 無敵の空中要塞サンダーゲイに体当たりをくらわせたスペクトルマンだが、空しくはじき返されて地上に落下する。しかしそこには運悪く走行中のトラックが!


 運転手・「ウギャーッ!」
 スペクトルマンのフライングボディプレスをくらって
爆発炎上するトラック!
 業火の中から辛くも脱出して毒づく運ちゃん。


 運転手・「何やってやがんだ、バカヤロー!」
 スペクトルマン・
「スマン!」



 見ながら食べていたオーザックタンドリーチキン味が鼻から出そうになったぞ!
 まるでガス屋から徐行もせずに出てきた車と接触事故を起こしたみたいなノリだ。
 「何やってやがんだ。」
 って、一言じゃ説明しずらいよなあ。それに
 「スマン!」
 で済まされてもなあ。保険おりないんじゃないのか、あのトラック。「天から降ってきたスペクトルマンとの人身事故」なんて、契約条項にはちょっとないもんなあ。



 それにしても、この番組に比べたら、あの
「赤影」だって、実に重厚な人間ドラマに支えられた、素晴らしい特撮の魅力にあふれた快作だよなあ。バカにしててゴメンよ、赤影。
 と考えると、ゴリにもそういうポジティブな利用法があるんだな。
 皆さん、死んでも見たくないジャンク作品を見る前にゴリを見ましょう!アーラ不思議、産業廃棄作品がアッという間に
アカデミー受賞作に!
 こりゃエエわ、ナイススパイス、ゴリ!


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