No.23

2001年夏映画(1)

ジュラシックパーク3


 大人気SFXシリーズの第3作目である。
 1作目は「恐竜がお天道様の下で動く!」というSFXのワンダーさだけで十分見る価値があったが、2作目は「内容がないにもほどがある!」と揶揄されたままのジャンクムービーであって、この3作目においてはもはやストーリーもへったくれもないんじゃないかと想像して見に行ったら、案の定でした。



 物語のプロットは、「恐竜島で子供が行方不明になったんだけど、探しに行ったら
5分で見つかりました」というだけのものである。
 「いくら何でもそれじゃ映画にならないでしょう」と未見の方はお考えでしょうか?あたしもそう思うけど、掛け値なし、これはホントにそれだけの映画なのである。毎度のことながら、スピルバーグの厚顔さや恐るべし!
 この調子だと、そのうち「ウチから学校へ行く途中でスーザンと会いました。終わり」なんちゅう映画を作りかねないぞ。



 さて今回のウリは「スピノザウルス」なる新参の肉食恐竜であって、こいつはティラノサウルスよりも大きくて強いというふれこみであり、事実ティラノサウルスをアルティメットファイトの末に噛み殺してしまう。
 このシーンは本編中もっとも迫力ある見せ場であり、森の中で巨獣同士がガッコンガッコン激突する様は確かにハリウッドならではのスーパー映像である。
 しかしその美味しい場面が物語冒頭というのはどうか。いや構成上仕方がないと言えばそうなんだけど、だったらその後にさらなるクライマックスを用意するのが作家の義務というものであり、本作の場合そうではないのだ。
 要するに極端な竜頭蛇尾の感はぬぐえず、それが本作全体をチンマリとした小粒なイメージに見せている。やっぱコース料理は順序を守らなきゃね。



 さてスピノザウルスだが、この獣は登場人物たちを物語全編しつこく追い回し、しかも建物に隠れようが柵の向こうに逃れようがそれを粉砕して迫ってくるタフネスターミネーターとして描かれている。
 つまり彼は恐竜の姿をしているものの実際の所は生物ではなく、「激突!」のトレーラーなどと同様、
観念的な「追う者(恐怖)」の象徴なのである。その証拠に、まわりにいくらでも別の食物(草食恐竜)がいるのにそれらには見向きもせず、一直線に主人公たちだけを追ってくる。
 しかし、その演出は悪くないのだが、どうせだったらもう一歩踏み込んで、海兵隊とドンパチやらかせばいいのにね。そうすればラストにちゃんとしたクライマックスが出来るのに。


 追記・それにしてもアメリカって頼もしいなあ。たとえ世界の何処にいたって、
電話一本で騎兵隊が駆けつけて、野蛮な原住民から合衆国国民を助けてくれる。まるでマグマ大使だ。生まれるんならこういう国にしなくっちゃね。


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