No.15

モンスター佃煮レビュー


 最近見た怪獣とかモンスタームービーをまとめてレビューしておこうと思います。どれもそれ一作のみではまとまった文章になるほどの作品じゃないので、一山いくらみたいな感じでアップしますの。

「ゴジラVSメガギラス」


 漫研忘年会の肴として毎年見るのだけれど、さすがに苦痛の限界となってきたぞ、平成ゴジラ。もはや突っ込むことすら空しく思える、このヨモスエな出来はどうだ。おかげで一時間以上も場内で寝てしまったじゃないか!東宝のタコ!
 もっともエンタテイメントとして見た場合、昨年のゴジラミレニアムよりは楽しめる構成となっているのは間違いなく、特に怪獣同士の激突シーンはメリハリが利いていて、特技スタッフが無い頭を相当に絞って工夫をしたことがうかがえる。だがそれにしたって1時間半も映画館に座ってまで見る作品でないことは明らかで、貴重な化石燃料をこんなジャンクに投じている我が国には絶対バチが当たっちゃうからね!



 今回ゴジラ迎撃に当たるのはGグラスパーなるスチャラカ組織だが、その底なしの脳天気ぶりには思わず目眩がする。
 ブラックホール砲の試射着弾点の異常を、「時空が歪んでいるんだ」と確認しておきながら、「いや〜成功だ」、「さあ帰ろう」って、お前達は埼玉県警のグータラ警官か!
 焚き火の消し忘れ程度のことじゃないんだぞ。時空が歪んでんだぞ。ほったらかして帰るか普通。
 そもそもアキバでジャンク屋をしている兄ちゃんがいきなり政府組織に呼び出され、
 「私たちはゴジラ迎撃のためにブラックホール砲を研究しているの」
 「ああそうすか、じゃあ手伝いましょう」
って、もはや
木に饅頭を継いでそこからタワシが生えてきたような展開には、並みの神経では付いていけませんがな。



 ところでメガギラスが吸い取る「エネルギー」というのは一体何だろう?
 劇中では何も説明されないが、どうやらそれを吸い取って利用すると、凶暴で腕っぷしの強い個体が誕生するらしい。
 想像するに、あのエネルギーとは、
「気合い」のようなものではないだろうか?
 社会性昆虫メガニューラは、付近にいる「気合いの入った」生物を群で襲い、その気合いを吸い取って利用するのだ。
 相手の気合いは吸い取られて減退するし、結果誕生するメガギラスは超気合いの入った親分となるのだから一石二鳥だ。かくしてメガニューラは石炭紀の生態系を制覇していったのであろう。何とも恐ろしい太古の任侠世界。

「プルガサリ」


 このサイトのお客様である、しん・Y様からビデオをいただいて視聴しました。
 いや〜、主演のケバい女優が妙なしなを作って叫ぶ「プルガサリや〜」というセリフが耳について離れなくなってしまいました。



 内容はと言うと、ある程度想像はしていましたが、非常に真面目に作っているという感じ。
 脚本、演出ともカッチリしていて、無駄な部分はほとんどありません。だがしかし、それでも
ピクチャーサーチしてしまいたくなるのです。
 要するに、エンタテイメントとしては華が無さすぎますね。何というか、「怪獣のオマケ付きつまらないカムイ伝」みたいな感じ。(何だそりゃ)



 それにしても、ようやく革命軍として蜂起した農民集団、「さあ、王朝を倒そう!」とでもアジるのかと思いきや、
「よし、役場をやっつけよう!」ですからね。脱力しまっせ。
 まあ一番手近な公的機関から一つ一つ片づけようというのでしょうが、以外と地道、革命軍。
すごろくかって。

「キラークロコダイル2・怒りの逆襲」


 タイトルからして何の映画やらよく分からない。ランボーがオーストラリアで原住民を虐殺する映画か、みたいな。
 WOWOWで放映していたので何気に視聴したのですが、要するに巨大な人食いワニがパニックを巻き起こすというスチャラカムービーです。
 いや〜、何がスゴイって、とにかくもうそのチープさがスゴイ!そもそもワニからして、丸太棒に目玉を貼り付けただけみたいなお粗末なプロップで、ギミックと言えば口を上下に開くだけ。セサミストリートか、ワニ。
 このワニに人間が飛び乗るシーンなんか、さらにチープなミニチュアワークで撮影されていて、思わず
スペクトルマンかと思いました。



 そもそもこの映画、舞台となるカリブの島に密かに核廃棄物が投棄されているというのが導入部なのですが、結果的にワニと核廃棄物は何の因果関係も無いという
クルクルパーな展開。
 フィルムの状態もひどく悪いので70年頃のアメリカ映画かと思っていたら、実は90年制作のイタリア映画だと知って脳がウニになりそうでした。

 

 オマケ・「エンド・オブ・デイズ」


 これもWOWOWでオンエアしてくれたので見たのですが、他で書く機会も無いでしょうから、モンスター映画ではないですが、ちょっと感想を書いときます。
 あたしはピーター・ハイアムズ監督の大・大・大ファンなのであるが、ここ十年ほどはロクな作品を撮っていないこともあって、巷間「ハイアムズももうダメだ」と言われていることも事実。
 んがしかし、この映画を見て、ファンとしての立場から言わせていただくと、「やっぱハイアムズももうダメだ」。
 映像作家としてのハイアムズが完全に死に体であることは、悲しいかな明らかです。まあそもそも、脚本からして実にしょうもないのですけど。
 「カプリコン・ワン」のあのワクワク感は、もう二度と望めないのでしょうか。



 ちなみにどうでもいいけど、やっぱりあのクリスティーンという女を最初に殺しとけばよかったんじゃないの?その方がずっと人死にが少なくて済んだ気がしますが。


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