ラウンドフェイサーの制作


1・テンプレート制作、頭部の制作

 今回は、人型ロボットの3Dモデリングについて、あたし流に解説してみたいと思います。

 お題とするのは、「太陽の牙ダグラム」に登場する敵メカ、ソルティックH8・ラウンドフェイサーです。

 まずはいつも通り、単純な掃引体や自由曲面を組み合わせ、テンプレートを作成します。(図1)↓がその形状です。

(図1)

 レンダリングしてみると(図2)↓のようになります。

 ここからチクチクとパーツを作り込み、同時に全体のバランスを取りながらモデリングを進めていきます。

(図2)

 さて今回は、頭部からモデリングを開始することにしました。

 それはラウンドフェイサーの頭部(↓(図3)参照)がキャラ性の中核を成す特徴的なパーツだからということと、非常にモデリングのしにくい形状であるという理由からです。

 つまりこの部分さえ上手くできれば、残りのパーツもサクサク作れるということになりますし、逆に頭部が失敗すれば、その時点で潔くモデリングをあきらめてしまうことも出来ます(オイ)。

(図3)

 ところで、何故ラウンドフェイサーの頭部制作が厄介かというと、

 ・内部がコクピットなので、中空構造にしないとならない。

 ・ガワのパーツを分割しなければならず、しかも曲面を複雑にくり抜かないとならない。

 等の理由によります。

 あたしは頭部を一体として作るのを最初からあきらめ、土台の部分と、その上に乗るパーツを別に作ることにしました。

 まず土台の部分(頭部の下半分と口吻部)を作ります。↓(図4)がそれで、自由曲面による簡単な構造になっています。

(図4)


 次に上部のパーツを作ります。土台パーツにピッタリ乗るような自由曲面を作るだけなので、作業としては簡単です。

 ↓(図5)が上部パーツを乗せたところです。これで頭部の基本形が出来ました。

(図5)


 この上部パーツは、前方へ開くキャノピー部分と、後頭部のパーツとに分割する必要があります。

 (図3)の白い部分がキャノピーですが、その形を再現するため、自由曲面にCPを追加し、それを後方に移動します↓(図6)。

(図6)


 各CPの位置やハンドルを微調整した後、パーツを前後に分割します。分かりやすく色分けをしてレンダリングしますと、↓(図7)のようになります。

 側頭部が後方へふくらんだキャノピーの形が再現されていることが分かります。

(図7)

 次にキャノピーパーツに窓を開けてやります。

 設定画を参考にしながら、窓をくり抜くための形状を制作。それをキャノピーパーツに重ね、ブーリアン演算を適用します↓(図8)。

(図8)

 レンダリングしてみると、↓(図9)のようになります。上手く窓がくり抜けたようです。

(図9)

 これでキャノピーのワクは完成としても良いのですが、さらに実感を高めるため、内側にライナー(内張り)を貼り付けてみましょう。

 ↓(図10)がライナーを貼り付けたところです。キャノピーワクの形状を少し縮小して貼り付けるだけですから、作業としては簡単です。

 外側のワクとライナーに、それぞれ異なるマテリアルを設定してやれば、いかにも複層構造のように見えてそれらしくなります。

(図10)


 最後に外ワクとライナーとの境界にある自由曲面をコピーして取り出し、キャノピーグラスを作ります。

 ↓(図11)がグラス(緑色の部分)を配置した状態です。ここに透明なマテリアルを設定してやれば、コクピット内部が透けて見えるようになるわけです。

(図11)

 これでキャノピーは完成です。

 頭部のパーツでは、他にこれといって難しいモノはありませんから、頭頂部のカメラや口から伸びるパイプなどをサクサク作って取り付けます。

 ↓(図12)がその状態をレンダリングしたものです。まずまずラウンドフェイサーっぽく見えてきたように思います。

(図12)

 これで頭部の基本形状が出来ました。

 次回は胴体部を制作します。


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